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中日クラウンズ 2010

杉原輝雄が自身11年ぶりのイーグルを達成

同一大会51回連続出場の世界記録を達成した翌日に、72歳がまたやった。和合の11番は、337ヤードのパー4だ。残り「150ヤード」の第2打は、打ち上げ分とアゲンストの風を加えて実質「160ヤード」。

いつものように、計算より番手をひとつ上げて、6番アイアンでグリーンを狙った。
手前7メートルに着地したボールは、あれよあれよとピンに寄った。
大ギャラリーの歓声とともに、吸い込まれるようにカップインした。

自身のイーグルは、実に11年ぶりだ。
前回は99年のミズノオープン。初日の6番ホール以来の快挙達成にも本人は、大して面白くもなさそうだ。
憮然と言った。
「僕自体には、大して意味もないこと」。

和合の空に轟いた歓声で、入ったと知ったキャディがそのことを杉原に伝えても、表情ひとつ変えずに「ふん」とひとこと答えただけだった。
歓声に迎えられ、グリーンに上がっても淡々と、ニコリともせず、一応はキャップを取って、ぺこりと頭を下げてみせただけ。

それまでに、すでに13オーバー。
もはや目標の予選通過には遠く及ばぬスコアだった。
「イーグルで決勝に行けるとか、上位に行けるとかならいいけどもね」。

とはいいながら、ファンが喜ぶ顔を見るのはドンにとっても無上の喜び。
「それは・・・まあホンマに良かったけどね」と、最後にようやく照れ笑いがこぼれ出た。
通算15オーバーで和合を去ったが、大いに存在感を示した2日間。

この日は早朝の情報番組で生出演。司会のみのもんたさんを絶妙の話術で抱腹絶倒の世界に誘ったあと、「生涯現役」を堂々と宣言したばかりだった。
その言葉を裏付ける、この日のプレー。
「来年も、杖をついてでも出させていただきたい」と、まだまだ貪欲だ。

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