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マイナビABCチャンピオンシップ 2010

石川遼は1打差の2位に敗れた

うつむき加減で上がってきた18番ホール。「キョンテに追いつきたい」その思いがいっそう強くなった最終日だった
目下、一番のライバルといってはばからない金に、またしても敗れた。追いつく最後の絶好のチャンスもみすみすふいにした。
最終18番は、長いイーグルトライから2.5メートルのバーディパットは、カップ右に蹴られた。

もっとさかのぼればティショットだ。
その時点では、まだ金とは通算12アンダーで、並んでいた。大事な場面は、「得意」なはずのパー5で、右のラフに打ち込んだ。

「まさかあんなショットが出るとは。自分でもびっくりでした。これが優勝争いの罠なのかな、と」。
残り185ヤードの第2打は、右手前から6ヤードのピン位置に対して、「手前はダメ、右サイドも池が絡んでいて、ピンまでキャリーしたとしても、右に池があるのでダメ」と、左端に2オンするので精一杯だ。

「あれは集中力というか、気合いで乗り切ったショットでした」。それだけに、そういう選択肢しか出来なかった場所に打ち込んだティショットが悔やまれる。

「もう一度、打ちたいくらい後悔しています」と、石川。

昨年も賞金レースで最後まで争った池田勇太より、また高校時代は「王様」と評したほど尊敬する先輩の薗田峻輔よりも、2週前の日本オープンで3位につけた同年代の松山英樹くんよりも、「いまは一目置いている」というのが金だ。

9月の日韓戦で7打差の大敗を喫し、日本オープンは最終日の同組対決でも大きく水をあけられ、今回は1打差に敗れた。

数字だけで見れば、僅差の戦いだったが今の石川には“たった1打”とは思えない。

「1打が、それ以上の差にも思える」。
この単独2位で、プロ転向からわずか72試合にして、史上最速&最年少で生涯獲得賞金は4億円を突破した。賞金ランクも2位に上げたが金との差はむしろ、さらに広がった。
2年連続の賞金王も、目下の壁は金ただ一人。「この差を縮めたい。いまはそういう気持ちでいっぱいです」。
王座をかけた戦いは、片時も目が離せなくなった。

<参考記録>
※生涯獲得賞金4億円を突破した試合数、上位3人
1.石川遼 (72試合)
2.ブライアン・ワッツ (102試合)
3.片山晋呉 (110試合)

※生涯獲得賞金4億円を突破した年齢、上位3人
1.石川遼(19歳1ヶ月14日、2010年マイナビABC選手権)
2.丸山茂樹(28歳2ヶ月25日、1997年ゴルフ日本シリーズ日立カップ)
3.片山晋呉(28歳7ヶ月9日、2001年サントリーオープン)

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