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日本プロゴルフマッチプレー選手権プロミス杯 1999

尾崎直道 2アンド1 日下部光隆

 スタートホールからずいぶん疲れた風情の尾崎直道。昨晩、米ツアーから一時帰国したばかりで、「時差ぼけでだいぶ疲れている」(尾崎)。
 1番ホール、ピンまで6メートルのバーディパットを1メートル以上もオーバーさせ、これをはずしていきなりのボギー発進。5メートルを沈めてバーディとした日下部光隆のリードを許してしまった。
 早くも重苦しい空気がたちこめかけたが、これをはねのけてくれたのが、2番ホールと3番ホールに移る間に、尾崎に駆けよってきた長男・貴将君(10歳)。 「パパ頑張って!」の激を受け、発奮。表情にみるみる活気が出てきた。
 3番ティショットでは、思わず自ら「OK!!」と叫ぶほどの快心ショットでフェアウェーキープ。ティショットを右に大きく曲げて、必死のリカバリーでパーとした日下部を横目に、ピン7メートルに寄せ、これを気持ち良く沈めてバーディだ。
 グリーン横で待ちうけていた貴将君とハイタッチ。「パパナイス」の言葉に、「まぐれだピョン」とお茶目に答えるほど、プレーに乗ってきた。
 「ゴルフをやっていくうちにたまったストレスは、息子が解消してくれる」(尾崎)

 6番、7番、10番、12番、13番と順調に勝ち星を重ねて、14番。
 「4アップしてこれできまりかな、と思ったんだけど…」。フェアウェーからのセカンドショットをバンカー目玉にいれてボギー。対する日下部は、林に打ちこんだ第 2打を、しっかり寄せてきてパー。尾崎、1ダウンだ。

 「気の緩みがあったと思う」(尾崎)

 16番。日下部の第2打は、ラフでチャンスはないかに見えた。しかし、尾崎はまたもや、フェアウェーからの第2打をダフってボギーとしてしまう。辛くもパーを取った日下部との差は2アップにまでちぢんでいた。

 17番ホールでは2人、分けてどうにか勝ちを拾ったが「4アップまでしておいて、1 アップくらいで終わりというのは反省材料」と、苦い初戦突破となった。

尾崎直道のはなし
「相手はアップアップでひとりすもうだったから焦りはなかったけどね。ショットも悪くなかったし。気の緩みが出たかな。なんだかホワっとしちゃうんだよね。
 プレジデントカップの丸(丸山茂樹)は、相手に引導を渡すまでやる、キツイ男だと思ったけど、マッチはそういうほうがいいんだよね。
 これから秋以降は日本ツアーで戦うわけだから、その第1戦目として出きる限りのことはしようと思ってますよ。
 でも、10歳くらいも年下の(日下部は30歳)子たちとマッチを戦うのはやりにくい。
 向こうはファイトが見えるのに、こっちはなんだか冷めながらやってるわけでしょう。
 ファイトと表わしづらいんだね。だって、若い子の前でガッツポーズとか、できないですよ。タイガー・ウッズだって、ガルシアの前では出しづらいのと一緒でね。
 でも逆にその分楽ではある。そういう状況をエンジョイしようかな〜という気持ちはあります」

日下部光隆のはなし
「ぼくがヘタすぎるだけのハナシ。9番で短いバーディパットをはずしたのが痛い。あれを取っていれば、わからなかったと思いますけど…」

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