記事

日本プロゴルフ選手権大会 2006

友利勝良「今日はヤケ酒を飲むよ」

2つ後ろの組の近藤が、本戦の最終ホールでボギーを打った。思いがけず、プレーオフに残れることになった。「それは嬉しかったけど、・・・でも複雑だった」と、友利。

プレーオフホールは18番。480ヤードと距離が長い上に、グリーン手前に大きな池が横たわるパー4だ。
会場の谷汲カントリークラブは、特にあがり3ホールが難しい。実際、この日最終日はそれまでボギーなしで来ていた友利も、17番、18番と立て続けにボギーを打っていた。
しかも、18番のピンは奥。2段グリーンのてっぺんに切ってある。51歳の友利には、不利なホールだ。

「・・・18番、て聞いた時点で勝負する前から諦めていましたから」とあとで本人は冗談めかしたがしかし、実際の戦いぶりにそんな素振りは微塵も見られなかった。

プレーオフ1ホール目のティショットはフェアウェー左サイド。5番ウッドを握った残り217ヤードの第2打はみごとな弾道を描いて池を超え、グリーンを捉えた。

残念ながらボールは弾かれ奥に転がり出てしまったが、パワー溢れる見事なショットに満員の会場は沸きに沸いた。

「・・・まさか!! 自分でもあんなに行くとは思ってなかったんです。5番ならいつも210ヤードくらいしか飛ばない。なんとかワンバウンドで届けばいい、と思ったくらい。・・・あれはきっと、風向きが変わったせいでしょう」と、謙遜したが28歳の近藤と対等に渡り合ったのだ。

第3打は近藤と2ヤードと離れていない。2人ほとんど同じ場所からのアプローチ。
先に打った友利が、手本を見せたかっこうとなった。
「見た目より、傾斜がきつかった」と、ピンをオーバーさせた友利に対し、「友利さんのショットが参考になった」という近藤は、ピンそばにピタリ。
「・・・今日はヤケ酒を飲むよ」と、わざとふてくされてみせた51歳。

それでも、渡米前に価値ある2位だ。
2週後に開幕の全米プロシニア選手権。昨年に引き続き、2度目の出場をする。
その前にレギュラーツアーで好戦を演じた。
「ほんとうは勝って行きたかったけど。ゴルフの調子は良いんでね。向こうでも頑張ってきます!」。
手ごたえを持って、世界に挑む。

    関連記事