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ダンロップフェニックス 2000

今年のコースセッティングについて

日下敏治JGTOエグゼクティブディレクター

 「世界レベルのコースセッティングを目指したここフェニックスCC は、まず、96年から6ホールずつに分けて3年がかりでグリーンの全面改造に取組みました。
 微妙なアンジュレーションをつけられた新しいグリーンは難易度が増し、改造後一年たった昨年大会は、さらに状態が安定して、選手たちを苦しめました。

 そして今年。成功に終わったグリーン改造に続く新たな課題として、大会が着目したのがラフのセッティングです。

 ここフェニックスの芝は暖地型芝の代表種のティフトンと呼ばれる洋芝で、葉茎が細く、伸ばしてラフに設定したとき、ボールがスッポリ沈み、非常にうちづらい特色を持っています。このラフに打ちこんだ場合、クラブフェースとボールの間に芝が挟まってスピンが効かない、いわゆるフライヤーという状況になって飛距離の計算がしづらくなるのです。

 しかし、今大会では11月の開催に合わせてコースを青々とした“緑のじゅうたん”にするために、冬用のライグラス芝をオーバーシード(芝の上から重ねて種をまくこと)していました。これによって、ティフトン芝の特性が薄れ、ラフに打ちこんでもボールが芝の上に浮いたような状態になって、かえって打ちやすくなるという状況も生んでいました。

 そこで今年は、オーバーシードするライグラスの量を減らし、ティフトン芝の特性を生かすようにしました。
 さらに、ラフの長さを50ミリ強と、微妙な長さに設定し、打ちこめば、芝の中にしっかりボールが沈みこみ、ショット時にフェースとボールの間に芝が入りこみやすいセッティングにしました。

 これによって、ラフからのショットは昨年までより難しくなり、ティショットでフェアウェーキープの重要性は増したはずです。

 コース内のラフはすべてこれと同じです。グリーン回りからのアプローチもかなり難しくなっているはずです。

 選手たちもコースに関して、口々にフェアウェーキープの重要性を話しています。

 今年の新たな試みを攻略し、頂点に立つのはどの選手でしょうか。ファンのみなさまも最後までゲームの行方に注目してください」

★ 日下敏治
 1953年4月23日生まれの47歳、大阪府出身。1973年に資格認定プロテスト合格。日本ゴルフツアー機構が発足した昨年1年間、チーフディレクターを務め、今年からエグゼクティブディレクターに就任した。「日本人選手が、世界に通用するプレーヤーに育ってくれるような大きなフィールドとルール作り」を第一の目標に、全国各地を奔走する毎日を送っている

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