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JCBクラシック仙台 2005

小達敏昭「たとえ試合に出られなくても」

ある選手が練習場で、小達の2アイアンのショットに、感嘆の声を上げたそうだ。
「いま、日本であれだけ高い弾道で打てるのは、伊沢さんと、小達さんしかいない。小達さんはまだまだ、ツアーでやれる人だと思う」。

それを伝え聞いたとき、ほんのり笑みがこぼれ出たが、すぐにクビを横に振った。
「いくら良い球が打てても、試合勘がまったくなくなってしまったからね・・・」。

2001年に優勝を飾った今大会は、3年ぶりの出場だった。
慢性アキレス腱炎と診断を受けた足は、長時間の歩行に耐えられず、長く戦線を離脱していた。

今週も、きゅうきょ会場に駆けつけてくれた専属トレーナーの、毎日2時間を越えるマッサージとストレッチがなければ、とても戦い抜くことはできなかった。
難病を乗り越えての予選突破。久しぶりに味わう決勝ラウンドの空気、大ギャラリーの大歓声に、再び呼び覚まされるものも確かにあったが、ツアー連戦は、今後もやはり諦めざるをえない。

かわりに、目標がある。
秋に、アメリカで行われるという世界ドラコン選手権。小達もかつては、日本ツアーでドライビングディスタンスの常連だった。
この分野なら、たとえハンディがあっても勝負ができる。それを視野に、いま猛トレーニング中で、ポロシャツの上からでも、その鍛え上げられた肉体が伺える。

「ドラコンで1位になれればまた、違った道も出てくるんじゃないかなあって。たとえ試合に出られなくても、応援してくれる人のためにいつも頑張っていたいですね」。
長く試合を離れていても、プロ根性は忘れていない。

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