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ダンロップフェニックストーナメント 2025

「僕は小(こ)ホスト」塚田よおすけが“頑張ってるオレ”に涙、5打差の圧勝

スリクソン契約の塚田よおすけが、9年ぶりの通算2勝目を、ホストVで飾った。


2打差の首位で出て、4打差をつけて入った最後18番パー5で、90ヤードの第3打がもうひと転がりで入りかけ。
「いやもう、手が震えなくて済みました。オッケー、オッケー。誰かオッケーくれないかって」。
軽妙トークでドっと沸かせてチョコンとスーパーバーディ締め。



松山英樹を「大ホスト」と呼び「僕は小(こ)ホスト」。自嘲しながら5打差の圧勝。


大会主催の住友ゴム工業が起ち上げたブランド「スリクソン」が、日本でのクラブ販売をスタートした2001年からずっと一筋。
塚田にVジャケットを着せかけながら、「ほんとに嬉しい…」と、つぶやく山本悟・代表取締役社長の声を、表彰台のマイクが拾った。

40歳が感動の復活Vを演じた。
家族も仲間もみんなが泣いた。
塚田自身はもう15番から泣きそうだった。

「きのう急に長野から来てくれた」という家族の前で、頑張ってるオレ。
「勝つ勝たないよりそれが嬉しくて」。
ポケットに手を突っ込んだまま終盤ホールを歩いたのは、ポケットの手で太ももをひねることで、涙がこぼれないよう堪えていたから。

2016年の初優勝から9年。
「好きで始めたゴルフでプロになり、幸せなはずなのに、思いどおりにできなくて。嫌いになったり、コースに行きたくないな、と思ったり」。
ショットが右へ左へ不振を極めた今夏も含め、くじけかけたことは幾度もある。

でも、もうプロ18年目。
「ルーキーみたいにおどおどしちゃダメ」と、奮い立たせた。
40歳。「どん、と構えるようになりました」と、シードも危うい賞金70位で入った本大会でも、経験と技を駆使。

3日目の最終組で回った22歳の長野泰雅(ながの・たいが)が「(賞金)70位のゴルフじゃない」と、感心していたそうだ。



「それって逆に面白くて。もう40歳なんだけど、まだ40歳。頑張っていきたいな」と、若い子からの賞賛も励みに。

「なかなか絶対、という言葉を使いたくはないんですけど、今回はいろんな力と応援の後押しがあって、心の底から勝ちたいな、と思って勝てた2勝目でした」と、不振脱却のヒントをくれた師匠の飯島茜プロや、仲良しの後輩プロ佐藤大平(さとう・たいへい)にも感謝。

「ここ1か月でガラッとよくなった。先週からフェードに戻して、ミスしても右にしかない。やっとゴルフができてきて、それが結びついたのが今週でした」と、9年ぶりの復活を喜ぶ。

40歳になっても茶髪とひげとピアスがトレードマークで、一見こわもてだが「名前にもあるように陽気な人」とは、妻の香奈子さん。
スーパープレーで大ギャラリーを沸かせ、大勢のプロ仲間に祝福される夫の姿に「スポーツっていいな…」と、目がウルウル。
5歳の長男・大夢くんも、今月2日に2歳の誕生日を迎えた留夢くんも、香奈子さんがやきもちを焼くほどパパのことが大好きという。


本名の陽亮(ようすけ)から、登録名を「よおすけ」に変えたのも、2013年から長野市の「72犀北ゴルフセンター」で、池田勇太や石川遼らトッププロを招いて毎年開いてきた無料のジュニアレッスン会で、子どもたちから名前を呼んでもらいやすくするためだったが、「JGTOでは一度名前を変更すると5年は変えられない。知らなかった。45歳までこれ。恥ずかしい…」。

勝つまでは、ちょっぴり後悔もあったが、「“小西たかのり”と一緒に結果が残せたので良かったです」。共に改名元年の初V選手(4月「前澤杯」)も引き合いに、破顔一笑。

レッスン会のほかにも、地元長野のラジオ局「SBC信越放送」でも長年レギュラーコーナーを抱えており復活Vの翌早朝も出演予定だ。
子ども愛、地元愛に溢れるよおすけが、9年ぶりに笑って泣いて喋り尽くした。

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