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バンテリン東海クラシック 2025
ガッツポーズを猛省、スピーチに緊張「代わりにコメントして」下家秀琉(しもけ・すぐる)が今季9人目の初V者に
下家秀琉(しもけ・すぐる)が最終日に「64」をマークし、プロ2季目のツアー初優勝を、大会最多記録に並ぶ通算17アンダーで達成した。

最終日を1打差の首位から、自身初の最終組でスタートし、「緊張はしましたけど、出したら負けるので、出さないように」。
ひた隠してきた感情は、2打差をつけて入った15番のパー5で図らずも出た。
グリーン右横のラフからチップインイーグルを決めた際の「人生初」のガッツポーズは「自然に出て。なんかキモイな…と、思いました」と、あとでボソボソ反省した。

1差で入った最後18番は、池越えの164ヤードで8番アイアンを振るって奥5メートルに乗せると、大学同期でパットコーチの須藤キャディとグータッチも出た。
バーディパットは外したが、パーパットはマークもしないで急いで打った。
「一応やったほうがいいのかな?」と、あえて作ったガッツポーズはなんともぎこちなかった。
「四六時中ゴルフと向き合って、一生懸命やっているのを見てきた。形になって本当によかった」と、須藤キャディは涙ながらに言ったが当人は、別のプレッシャーで頭がいっぱい。
川西マネージャーに、「代わりにコメントしてください」と、懇願するほど人前で話すのが苦手。
「スピーチの緊張が上に来ました」。
初Vの喜びをはるかに上回った。
東海テレビのアナウンサーさんも、いよいよ下家の初優勝が近づくと、「どうしたら引き出せるか」と、頭を抱えておられた。
しかしいざ第一声では「現実なのかと思えるくらい、夢のようです」などとしっかりと応対し、支えてくれた人たちへの謝意を述べた。
15番のチップインイーグルだけではない。右の奥のラフから巧みに寄せた1番のOKパーや、右の手前のラフから獲った2番のOKバーディや、初日と3日目に記録したパーセーブ率100%を支えたのは先月の北海道で、岩田寛(いわた・ひろし)に習ったというアプローチ。
ついでに59度のウェッジも岩田と同じのに変えたら「めっちゃよくなりました」と、感謝。
心酔する大先輩にいい報告ができたのは何より嬉しい。
4つ上の長兄の秀翔と、次兄の秀平の真似をしてゴルフを始めたが、「最初は弟が一番センスがなかった」と、回顧したのはきゅうきょ応援に駆け付けた次兄の秀平。
でも、「きょうだいでいちばん負けず嫌い。僕らが遊んでいるときも一人で練習していた」と、いつの間にか身長もゴルフも2人の兄を越し、ツアープロを目指す秀平より先に賞金シードも初優勝も達成した。
「憧れです」と秀平。「弟を尊敬しているし、本当に嬉しい」と、称えた。

きょうだい3人とも「秀」の字にこだわってつけられたという名前も、1回で「秀琉=すぐる」と読んでくれる人はまあ、いない。
「名前がすごい難しいんですけど、憶えていただけたら嬉しいです」と、スピーチでしっかりとアピールした。
大阪学院高校3年の2019年の本大会で、初めてプロの舞台を踏み、同・大学2年の2022年大会では、ベストアマを獲得した。
持ち球のドローヒッター向きのコースとも言われ、「好きです」と明言する思い入れの三好で「下家秀琉(しもけ・すぐる)」が今季9人目の初Vリストに名前を載せた。
今季米二部ツアーで奮闘する大学先輩の平田憲聖(ひらた・けんせい)が、一番かわいがっているという後輩のひとり。
Vスピーチの最後もばっちり決まった。















