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ISPS HANDA 夏に爆発どれだけバーディー取れるんだトーナメント 2025

表彰式はリングで。比嘉一貴が総バーディ2153個の頂点に立ち、次週はリベンジ!

22年の賞金王が夏の北海道で大爆発した。
“74ホール目”のイーグルも含めると、4日間のバーディ数33個も今週1位。
比嘉一貴(ひが・かずき)が、史上最多アンダーパー32に迫る通算30アンダーで、3年ぶりのツアー通算7勝目を掴んだ。




米澤蓮(よねざわ・れん)とのプレーオフ2ホール目に8メートルのイーグルトライを沈めたが、カップインの瞬間は見ていない。
決着を確信し、入る前にもうパターから手が離れていた。



決着した瞬間に、もう涙が溢れていた。
「勝ってすぐ、泣いたのは初めてかもしれないです」。

小5で出会い、地元沖縄の本部高校で共に全国制覇を目指した幼なじみの牧野キャディと、今季からタッグを組んでの“初V”。
「一緒に勝ちたいっていうのがあったのでそれが嬉しくて。感極まりました」と、小さな巨人が目頭を押さえた。



22年に身長158センチの最小賞金王に就くと、翌年から海外での出場機会が増えたが「うまくいかない期間が長くて心が砕かれた」。
不遇の2年を思うと、感泣は余計に増した。

先々週の「リシャール・ミル チャリティトーナメント」で同学年の池村寛世(いけむら・ともよ)に祝福のシャワーを浴びせたばかり。
「今週は僕が浴びせてもらえて嬉しかった」と喜びが溢れた。


最終日は1差のトップで出て8個のバーディを積んでも、直近5シーズンで最多となるバーディ2090個とイーグルかそれ以上を63個も生んだ伸ばし合いでは混戦は免れなかった。

大量アンダーの首位ボードが目まぐるしく動く中で、雨と風が強くなった14番ではこの日唯一の痛恨ボギー。
「ドライバーでも林が越せず、ラフに食われて前に行かず、40ヤードのアプローチが残り、パーパットは水につかまった」。

水滴の影響で、ボギーパットは3メートルも残ったが、執念で沈めた。
一歩後退は余儀なくされたが「あれを決められたのは大きかった」とメゲげずに16番で7メートルを決め、最後18番ではイーグル逃しのバーディで、先に通算30アンダーに到達していた米澤に食いついた。



22年賞金王の資格で臨んだ海外ツアーは「セカンドオナーは当たり前。彼らにはバーディチャンスのホールが僕はパーでも精いっぱい」。

飛距離の差にやられ、小技にも自信を欠き「自分はダメだダメだと負の連鎖。プロ人生で、これほど予選落ちが続く経験もなかったので苦しかった」と、今も心が痛む。

打ちひしがれて帰った日本では、今度、芝やコース環境などの違いから、せっかく海外で培ったゴルフが通用しない。
「ゴルフが小さくなって、バーディ数も少なくなっていた」との負い目を払拭してくれたのが、伸ばし合いに特化した本新規大会だ。

「イケイケドンドンじゃないけれど、こういうゴルフもできるんだと発見できた」と、主催者に感謝。
恒例の優勝兜の授与式は、プレー後に行われたプロレスのリング上で行われ、「めったにない経験ができた」と、喜びながらふとよぎる。



「今の男子ゴルフはこういうイベントと一緒にしないと人が来てくれない、と考えてくださってのこと。僕らがもっと頑張らないと」。
次週は「ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント」でISPSシリーズ決着だ。

屈指の難コースとして知られる会場のブルックスカントリークラブは2016年の「日本アマ」で、亀代順哉(かめしろ・じゅんや)とのプレーオフに敗れて2位に終わった惜敗の地でもある。


「今週とは真逆のゲーム展開になると思いますけど学生時代のリベンジも込めて、こちらでもまた頑張りたいな、と思います」。
取り戻した自信と気合がみなぎった。

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