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〜全英への道〜ミズノオープン 2025

初Vを狙う阿久津が「爆風」の首位獲り「あとは明日の風次第」べーやんと最後の散歩

3日目は、今週いちの風が吹き、まさに出場権がかかった「全英オープン」さながらとなった。
難条件で、阿久津未来也(あくつ・みきや)が6バーディ2ボギーの「68」をマーク。
2位と1差の通算12アンダーで、単独トップに躍り出た。

初日に「62」をマークするなど3日目を3位タイから出た昨年大会では伸ばせず、13位に後退していた。
「今年は3日目からギアを上げていこう」と決めた。

「きょうは朝から風が吹き、JFEならでは。自分は球筋的にも球が上がりにくいし、スピンも少ないので影響を受けにくい」。
今オフ3月のツアー外競技「北九州オープン」でも強風下で優勝しており「自分は風のないなか伸ばし合いより我慢のほうが戦える」と、にらんで出た。

だが、「影響を受けにくい、といいながら、きょうの風は並大抵ではない」。
北から吹いたと思ったら、次の瞬間、南風。上空でくるくると向きを変え、少し弱まったかな、と油断する間もなく、今度上りの3ホールは「爆風」が吹いた。

案の定、16番パー3で5番アイアンのティショットを右の奥のカラーに落とした。外からパターを握った14メートルのバーディトライは力が入りひやりとしたが、「ガシャンと入った。外したら3メートルは行っていた。運がある」。
奇跡のバーディに奮い立つと、上り2ホールではガッツパー。




ティショットを右のブッシュに入れた18番ではあわや池の第2打目が左のバンカーに残っており、2.5メートルに4オン、ワンパット。
「危うくボギーになりそうなのを耐えられたのは明日につながる」。

ジュニア時代から得意を自負するパットの違和感は、一昨年からあったが、先週の「日本プロ」からパターを人生2度目のL字に変え、アドレスで一度クロスで握ったあと順手に直す手法で右肩下がりの悪癖を解消し、癖のある芝目の最後のジャッジは経験豊富なキャディさんに任せる。

今週、タッグを組む女子プロの田辺ひかりさんは、県境の広島県福山市の出身で、JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部は、ジュニア期から数えきれないくらい回っており、「聞けばなんでも答えてくれる」。
「…聞かないで」と、田辺さん。
「明日勝ったら初優勝。めっちゃ大事だしヘタに言えない。なんでこんな時に限って私がキャディなんだろ」と、困ったみたいに首をかしげる。
「未来也さんは、一人でも勝てると思う」と黒子に徹し、「私がどうとかではなくここまで来たら優勝してほしい」と、祈る思いでカートを押す“べーやん”キャディ。
初Vを目指す相棒として、申し分ない。



昨年8月の「横浜ミナトChampionship ~Fujiki Centennial~」に次ぐ自身2度目の最終日最終組に入った。
前回は、2打差の単独トップで出て、米澤蓮(よねざわ・れん)に3差で負けた。

「あのときは、攻めるという気持ちはもちろんあったんですけど、スイッチを入れられなかったのが反省点。最後まで、守りっぽくいってしまったので。今回は、バックナインに入ったときの順位次第で、自分にカツを入れてもいいのかな。あとは明日の風次第」。
前回は、負けても自己ベストの2位で仲間たちの水シャワーを浴びたが今回は、どんなクライマックスを迎えられるか。

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