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今季最終戦で賞金王と“居残り王争い” 。総合力1位の星野陸也「来年こそ賞金王」ベンツも渡さない

すでに賞金王は決まっていたはずだが、4日に終了したシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」では賞金1位か2位か。どっちが勝ちか。

ツアー帯同のフィットネスカー「プレジャー」で比嘉一貴(ひが・かずき)と“居残り王争い”を繰り広げていたのが星野陸也(ほしの・りくや)だった。


賞金ランキング順に組まれた初日は揃って最終組でスタートしたので案の定、プレー後のクラブハウスは戸締まりが始まっても、闇夜のトレーラーにはまだこうこうと灯りがついていた。


成瀬克弘(なるせ・かつひろ)JGTOトレーナーが苦笑しながら言う。

「朝は一番に来て、ケアをして、トレーニングをして、ハーハー言いながら、夜も最後まで2人残って、汗かきながらああでもないこうでもないとずっと2人でゴルフのことを喋ってます。最終戦だけではなく毎日、毎週……ずっとですね(笑)」。


今季ツアーを牽引したツートップが流し続けてきた汗と努力の一端である。


互いのゴルフも体の状態も、知り尽くしているからこそ比嘉は「リクヤの調子が良いのは分かっていた。いつ抜かされるか怖かった」と星野を恐れたし、星野は星野で「やっぱり今年は4勝もしていて、それはめちゃくちゃ凄いことですし、比嘉さんはすべてにおいてゴルフが上手い。圧倒的ですね」と、いさぎよく感服。


悲願には届かなかった。

賞金王は逃がしたが、星野はかねてより目指していたもうひとつの目標を成就した。

9部門のデータをポイント化して決定する「メルセデス・ベンツトータルポイントランキング」で1位に。



5日に、都内のANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた「ジャパンゴルフツアー表彰式」で、メルセデス・ベンツ日本株式会社の上野金太郎・代表取締役兼CEO様より受けた副賞の「メルセデス・ベンツS580 4MATIC long」のジャンボキーをひし…と、抱きしめ「家に届いたらご近所のみなさんがびっくりするのではないか。本当に嬉しいです。ありがとうございます」と、感激した。


2シーズン越しの初戴冠だった。

同ランク1位でシーズン最終戦を迎えたのは2019年。
しかし、最後の最後にその年、2年連続の賞金王に就いた今平周吾に抜かれた上に3位に沈み、雪辱を期した昨季もまた3位に。


3度目の正直を誓った今季は「自分に足りないものを考えた」と、日々データとにらめっこ。

「フェアウェイキープとサンドセーブを頑張りました。バンカーは1回入れて、寄せられたら次は絶対入れないように」と、狙いどおりに68.421%の高セーブ率で1位を記録。

バーディ率でも19年の石川遼の4.550を上回る4.753の好記録で初受賞を果たした。 ツアー部門別データ 2022


他にも平均ストロークやイーグル率、平均パットやトータルドライビングなど主要部門で5位を外さず、総合力で他を圧倒。


ただ、今季は日本ツアーのシーズン途中で世界ランキングが新システムに切り替わることもあり、「上げられるうちに50位内に」と変更の夏までに頑張りすぎて、大事な終盤に体調を崩してしまったことが悔しい。


10月の「日本オープン」でやむなく棄権をしたことから、1位の「平均ストローク」は現在の規程により表彰の対象外となってしまったが、予選通過を果たした5月の「全米プロ」からその足で、「全米オープン」の米国予選を突破。


いったん帰国し、地元茨城県笠間市開催の「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で優勝を争い、また渡米する強行軍に及んだ。

「全米オープン」と、さらに7月の「全英オープン」は補欠ながら「メジャーのコースで練習できるだけでも収穫」と、覚悟の現地待機でスタート間際の5分前になんと地元英国の金メダリスト(リオ大会)、ジャスティン・ローズが欠場。

フリートウッドらのメイン組に飛び込んだ。


残念ながら予選敗退し、空港では大事なキャディバッグを失うなどさんざんな目に遭ったが、リスクを顧みず、海外を行き来して積み重ねてきた経験は、何物にも代えがたい。


「今年の経験や失敗を生かしながら、来年こそ賞金王を獲りたい。ベンツもまた頂きたいです!」。
ひしと抱きかかえたジャンボキーも手離さない。


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