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SMBCシンガポールオープン 2017
QT1位! 星野陸也が6位タイに
と、同時にボールもカップをくるりと回って弾かれた。
思わず空を仰いだ。顔をしかめた。「あれが入っていれば、夢じゃなかったかもしれない」。
6番で2メートルのバーディチャンスを沈めて通算8アンダーにしたときに、大混戦の首位タイに並んだ。
「アダムにも、一時並べた。ちょっとは追いつけたかな?」と、おどけて笑った。
「もっと練習してもっと近づけるように頑張りたい」と張り切った。
昨年12月のファイナルQTはぶっちぎりのランク1位で今大会の出場資格を手に入れた。
「どうせなら早く」と、日大を2年で中退して昨年のプロ転向から2年目にして、本格参戦のこれが初戦。
昨年末は石川遼の沖縄合宿に参加して、調整を重ねてきた。
先週は、地元茨城・水戸市の成人式に出席してから、初の海外独り旅。
「予選は絶対に通りたい」。3日がかりの予選ラウンドこそ「しびれた」というが、通算1アンダーで決勝に進むと20歳は、たちまち水を得た魚。
アジアンツアーで手配してもらったマレーシア人のキャディは、46歳のブランさん。
星野の身長186センチとのでこぼこコンビは「細くて、小さくて、この人大丈夫かなと最初は思ったけれど。意外と筋が強くて気も合った」とたくましく、足並み揃えて前半16番からの3連続バーディで、やにわに優勝争いに加わった。
当たれば300ヤードは軽く飛ばすが自慢は飛距離よりも、むしろ「曲げないドライバーで、我慢強く耐えるゴルフ」と後半は強風下のセントーサで懸命にこらえた。
この今季初戦を迎える前は、まわりから「QT1位」と言われるたびに「考えたくない」。
そのことが自分に無用な重圧を与えるようで、嫌だったが「上出来」の6位タイでスタート地点に立てれば「QT1位の自覚を持って、良いプレッシャーに変えて頑張りたい。将来は海外で活躍して、30歳までにマスターズにも行きたい」。
初戦で上々の滑り出しに、20歳の夢がますます大きく膨らんだ。