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開幕直前! 日立3ツアーズ選手権

いよいよ熱戦を前に健闘を誓い合うキャプテン。左から男子の池田、シニアの青木、女子の成田プロ。うう〜ん、感慨深い3ショット!
今年の、最強ツアー決定戦は歴史と伝統をたっぷりと感じさせる記念大会となりそうだ。とにかく何が凄いって、今年はシニアのPGAツアーの顔ぶれだ。今年は協会の会長として、なんと“賞金王”に輝いた倉本昌弘が胸を張る。「うちは、この6人で200勝を超えている!」。
シニアと女子と男子の対抗戦「Hitachi 3Tours Championship 2014(日立3ツアーズ選手権)」は、翌日の14日日曜日にいよいよ本番を控えた前日13日土曜日を前に、会場の平川カントリークラブに出場18選手が一同に介して行われた記者会見。
司会進行役のタケ小山さんが「6人で207勝をあげています」。改めてシニアチームの勝ち星を紹介すると、再び場内がどっとどよめく。
男子はJGTOチームの面々も、威圧されたようにつぶやく。「ハンパない・・・」。
シニアチームは代表6人中なんと4人が永久シード選手というのもハンパない。記念大会ならではの顔ぶれにはチーム内すら戦々恐々と、開催10回のうち、最多の出場9回を誇る室田淳も嘆息しながら「若いみんなは知らないかもしれないけれど、この人たちほんと凄いんだから。この人たちは、ほんと怖いんだから。僕でさえ同じチームで緊張してるんだから」と、まくし立てたあとで、ちゃっかりと「だから君たち明日はちょっと遠慮しなさい」。

さあ早速、2年ぶり3度目の栄冠を狙うシニアお得意の“舌戦”も始まった。
男子ツアーも受けて立つ。今年はレギュラーツアーで最多の3勝をあげたいま最強の40代、藤田寛之。「僕は・・・本当に緊張してシニアの方々の目が見れない」。恐れ多くて・・・。しおらしく、目を伏せながら、お得意の褒め殺し。
明日は午後からのシングルス戦で回る中嶋常幸。「中嶋プロのことも本当に尊敬していて・・・。小学生のころ、下敷きに中嶋さんの連続写真を入れていました」。出た、藤田お得意の人たらし。マスク姿の中嶋が「参りました!」と、もはやベテランも骨抜きに・・・?!

今年はその手で挑まないと、男子チームはちょっとやばい。若き最年少キャプテンの池田勇太も言った。「今年の男子はなんだか特徴がない・・・」。というのも、賞金王の孔明は目下、灼熱のタイで熱戦を繰り広げて留守だし、この日は午前中のプロアマ戦で、実は代表メンバーの一人でもある近藤共弘がラウンド中に、首を痛めて途中棄権。明日は必ず復帰すると約束して、午後から医者に駆け込み治療に専念しているとはいえ、けが人が出たとあれば、ちょっぴり分が悪いJGTOチームだ。

女子チームは大山志保さんが、ちょっぴりベテランの域(ゴメンなさい!)だがあとの5人はみな20代だし、6人中4人が初出場だし、小林浩美会長も言ったように、主催の日立グループさんは、韓国勢が3人ひしめく点でも「ワールドワイドなチーム」とそこに同社の社風を重ねて大いに期待を寄せていると聞く。
かたや、お隣を見渡せばシニアのレジェンドたちがにらみをきかしているし、男子の面々には少々肩身が狭い?!

その中で、シニアと女子に対抗できるものは何か。思いを巡らすJGTOチームの面々・・・。あった、ありましたよ、シニアと女子に勝てるもの!
「過去の勝利数を見ていただければ、やっぱり僕ら男子チームが有利なのかな」とは、最年長の藤田。チーム2度目の連覇がかかる今年は、3チームの中でも最多の6勝目がかかっている。「シニアと女子のみなさんと回れる貴重な機会を楽しみつつ、展開次第では本気モードになる。みんなで池田キャプテンを胴上げしたいと思います」と藤田の決意に、神妙に頷くJGTOチーム。

そして、なんといっても、大会の目標は未来を担う子どもたちのために力を合わせて戦う「For Child Charity」である。今年は、初出場を果たした成田美寿々さん。「8年前は私もここで、ジュニアイベントに参加して、青木さんと回らせていただいた」。今年、記念の10回大会は、重ねてきた歴史を大いに感じさせて、非常に感慨深い。
10年前に主催社と力を合わせて出場選手たちが蒔いてき種が、花開く瞬間。誰の胸にも、改めて芽生えた思い。「継続は力なり!」(倉本)。

今年は中嶋と、午前中の団体戦でペアを組む青木功。「俺はここ数年は、実力ではこの大会のメンバーに選ばれなくなっていたけど、今年は記念の年ということで、推薦をしてくれた倉本くんにはお礼を言いたい」。今年はプロ50周年を迎えて、8年ぶりにこの舞台に帰ってきた“レジェンド”は、午後からのシングルスで対戦する池田も、女子の成田美寿々さんも、「2人の年齢を足してやっと50歳。72歳の青木さんにはとても及ばない。影は踏まないように」と胸一杯の敬意を表した池田。
「・・・これもやっぱり、ゴルフの醍醐味なんだな」と青木はちょっぴり胸を詰まらせ「たとえ50歳、年齢が違っても同じステージに立てることは本当に幸せだ。俺はそれに尽きるよ」。
年齢も性別も、すべての垣根を取り払い、シニアと女子と、男子が最強ツアーの称号を賭けて立つのがこの大会。「俺は、そういうゴルフの楽しさを、この大会を通じて大勢の人たちに伝えられたらいいなって、本当に思ってる」と開幕を翌日に控えて、しみじみと青木は言った。

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