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石川遼 『気持ちを切らさずに』(WGC−最終日)

石川は、この4日間で初のアンダーパーでのラウンドを素直に喜んだ。
スタートホールのティーショットをフェアウェイ左サイドに置き、2打目をピン右奥1.5mに寄せ、きっちり決めてバーディー発進。2番Par5でアプローチをミスしてボギーを叩くも、4番ではピン左15mの長い距離をカップインさせてバーディーを奪うと、続く5番でもバーディー。6番でボギー、7番でバーディー、9番でボギーと出入りの激しい前半となったが、昨日までの3日間でバーディーが4つと、バーディーに飢えていた石川にとっては充実しているように見えた。
後半入って、11番でボギーを叩くが、16番、18番をバーディーとして、今日2アンダー、4日間トータル4オーバーで大会を終えた。
667ヤードと、USPGAツアーの最長ホールを誇る16番ホールでは、今日はティーが前に出ていたことと、風がフォローだったこともあり2オンに成功した。
報道陣に話を聞かれる前から、「16番ホールについては自分から話したいくらいですよ!それくらい嬉しいです。」
16番のティーグランドに立った時点で、“良いティーショットが出来たら2オンを狙おう”と思っていたという。2打目はピンまで265ヤード。しかし、相当キツイ左足下がりとなり、且つ100ヤード先には大きなマウンドが立ちはだかっていた。
「どちらかというと失敗する可能性の方が高いショットで、少しでもトップしたらダメなショットだった。でも、自分の中で“狙いたい”という気持ちがすごく強かったので・・・。」
思いきり振りぬいたボールは低い弾道でグリーンに向かって一直線に飛び、見事にグリーン手前の大きな池を超えてグリーンを捉えた。惜しくもイーグルとはならなかったが、バーディーを奪った。
パッティングは、本人曰く、“昨日までとは別人のよう”だったと言う。
「セカンドショットでピンに行っていなくても、5m、10mの距離が今日は入っていた。すごく良いストロークが出来て、ラインとタッチが合っていた。パッティングのバランスが良かったです。」
この大会に出場した印象を聞かれると、「トーナメントの雰囲気が素晴らしい。80名という本当に限られた選手の中に入れたことをすごく嬉しく思う。そういう部分を感じながらプレーしていました。今日、一緒についてくれたボランティアの方から“また来年会おう”と言われて、約束しました。また出場したいです。」
来週は、いよいよメジャー最終戦の全米プロに出場する。
「来週は特にティーショットがカギになってくると思う。今日も少し風が強かったので、意識して、いつもよりも3分の1くらいの高さに抑えた低い球を打ったりしてみていた。」ティーショットで低い球を打つことは、今年の全米オープンや全英オープンでもやっていたという。今年は、全米オープンがアメリカ西海岸にあるぺブルビーチゴルフリンクス、全英オープンがセントアンドリュース、そして来週の全米プロは、ウィスコンシン州のミシガン湖沿いにあるウィストリングストレイツと、いずれも海や湖からの風をまともに受けるコースで開催される。それだけに、ティーショットがカギを握ると石川は感じているようだ。
石川は今日のうちに全米プロが開催されるウィスコンシン州に移動し、早速、明日から練習ラウンドを開始する。
「充実した形でメジャーを迎えられる。ここで気持ちをオフにしないで、明日から3日間、気持ちを持続していきたい。来週の開幕が待ち遠しいです。」
そう言い残して、石川は足早に会場を去った。

















