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連覇を狙ったシニアツアーはやっぱり今年も……!?

これではかえって調子が狂う? 今年のシニアツアーは“新生PGA”と、呼んでもよく、平均年齢52歳はあくまでもシニアチームとしてはの話だが、ぐっと若返ってフレッシュな顔ぶればかり。

メンバー6人全員が大会初出場という初々しさに、対する女子も男子も、逆にいつもと違う勝手に戸惑った。

口の撃と書いて“口撃(こうげき)”は「いつもそれでやられているので」と、開催前から女子も男子も警戒を強めていたのだが、今年はいつになく、おとなしかった。
「口では負けてしまうけど、それはそれで去年も楽しくプレーさせてもらえたのに」と、女子の有村智恵も首をかしげたように、今年のシニア勢は、揃いも揃ってまるで“好々爺”に終始した。

「いやいや、今年のシニアは品(ひん)で勝負ですから」とは芹澤信雄。
尾崎直道も「プレー中に“口撃”するなんて、マナー違反もはなはだしい」と、どこまでも紳士道を貫く。

前夜は恒例の“決起集会”を開き、今年もチームワークは完璧に、ただひたすら技と経験を武器に、連覇を狙ったシニア勢だったのだが……。

ジンクス、恐るべし。
いぶし銀のPGAチームは昨年の初優勝をのぞいて、2位の座を外したことがない。
今年は前半9ホールのダブルス戦で、2位の女子チームに1.5ポイントの遅れを取って、最下位からのスタートに火がついた。
連覇はさておき、一致団結して「2位狙い」と即座に目標を切り替えて、有言実行に奔走した。

開催前に、他のシニア選手の前で約束してきた。
「もしも今年、初の最下位に終わるようなことがあったら、6月の開幕戦で、みんなの前で土下座すること」。
屈辱の罰ゲームだけは、なんとしても回避したい。その一心で、チームワークはいっそう強固に。

池内信治は初のメンバー入りにプレッシャーに震えながらも前半、加瀬秀樹と組んだダブルス戦は、17番でチップインイーグルを奪った。
そして後半のシングルス戦では、出だしの10番でまたもやイーグルを取るなど、チームに大いに貢献した。

そして、後半の4組目は芹澤が、前半戦で弟子の藤田と宮本に敗れた雪辱を晴らした。女子の全美貞(ジョン・ミジョン)と、男子は21歳の薗田峻輔を相手に、圧巻の4アンダーをマークした。ボギーなしの32で回って“逆転”に成功した。

「これで土下座しなくても済む」とはチームはおろか、出場全18人を見渡しても最年長の55歳は、賞金王の倉本昌弘。

最下位を回避して、「ギリギリの滑り込みで、今年も2位に入れた。勝つことは出来なかったけど、チャリティにも貢献出来た。それだけで満足です」と、みんなで仲良く胸をなで下ろした。

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