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男子チームの逆転連覇の原動力とは…!?

子供たちからのプレゼントに勇気をもらった選手たち(石川の右隣が原田くん!)
最終日にあたるDAY2の前半9ホールの<3rdステージ>で一度は最下位に落ちながら、男子のJGTOチームが逆転連覇を呼び込んだ原動力は、この日のインターバルにあった。

日立グループの特別協賛を受け、4回目を迎えた『Hitachi 3Tours Championship 2008(日立3ツアーズ選手権)』では大会の収益と、チームの獲得賞金を「NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク」と「社会福祉法人全国社会福祉協議会」を通じて難病に苦しむ子や、家庭環境に恵まれない子供たちの未来に役立てられるが、大会期間中にはこの2団体が毎年、ギャラリープラザでブースを出展。

前日初日に引き続きラウンドの合間を縫って、ここに選手揃って立ち寄った。
土曜日のこの日は子供たちが待っていて、選手たちに似顔絵のプレゼントをしてくれた。

テンガロンハットをかぶった賞金王や“遼くん”のイラストは本当にどれもとても上手で、みな思わず顔がほころんだものだ。

代表して石川遼に、みんなが描いた絵を手渡してくれた原田紘作くんは、脊髄性筋萎縮症という難病でスポーツはおろか、歩くことすらできない。
バリアフリーがうたわれる今、それでも車いすでの生活は不便を極める。
それに12歳は思春期にもさしかかり、母親の真由美さんと出かけるのを照れくさがって、近頃は何かと引きこもりがちだった。

「でも今回は、私が片山選手や遼くんを見に行かないかと誘ったら、すぐにうんと頷いてくれて…。これまではゴルフなど見たこともなかったのに、行くまでに勉強するんだと言って自分なりにルールなんかを調べたりしていたんです」。

今大会を通じて「子供の世界が広がった」と、真由美さんは喜ぶ。
「車いすでも来やすいようにと関係者のみなさんにはさまざまな配慮をしていただいた」と感謝の言葉も。
紘作くんも選手たちと触れあって「今日はたくさんサインやボールをもらった」と、弟の和(やまと)くんや妹の櫻都(おと)ちゃんと、嬉しそうだった。

しばしの交流を惜しみつつ、選手たちがブースを去る直前だった。
片山を呼び止める青年がいた。

福地健康(ふくちけんこう)くんが一緒に写真を撮って欲しいという。

しかし父親の義彦さんが2人にカメラを向けるが健康さんは最初、片山のほうばかりを見つめてしまってなかなかシャッターが切れない。
母親の羊子さんが「ほら、カメラを見て」と促しても視線を外さない。

片山の大ファンという。
今回も「片山さんを見る」と言って、車椅子でプレーについて回ったほどだ。
だからいざ憧れの人との初対面に健康さんは、“生シンゴ”に見とれてしまったようだ。

「僕に会えて喜んでくれてるのかなあ…!」と、片山が健康さんに話しかけたときだった。
満面の笑みを浮かべて、健康さんがカメラに向き直った。
その瞬間を義彦さんは、しっかりと収めた。
片山も健康さんの美しい笑顔につられ、満面の笑みで写真に収まった。

そんな、一見他愛ないひとときが選手たちに強い気持ちを芽生えさせた。
片山は健康さんの笑顔を胸に焼き付けて、残りの9ホールをプレーした。
みんなを励ましに行ったつもりが、実は逆だった。
「僕が勇気づけられていた。午後からの力をもらった」。
こうしてゴルフが出来る喜びを、改めて噛みしめながら戦った。

メンバー全員が優勝を目指したのは他でもない、あのとき出会った子供たちのためだった。
「ゴルフを通じてみんなの役に立ちたい。みんなをもっともっと感動させたい」。
その一心で、メンバー全員で力を合わせ、つかみ取った逆転連覇だった。
  • 17歳はたちまちサイン攻め!
  • 福地くん(右)の笑顔が片山に勇気を与えた…!!
  • 後半の最終ホールで矢野東はホールアウトするなり子供たちに駆け寄った。
  • 優勝賞金4000万円は子供たちのために…!!

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