スタートの１時間半前に、クラブハウス２階のレストランに上がってきた鈴木の表情が、パッと輝く。愛しい顔を見つけて、嬉しそうに手を振った。

アイドルグループ「℃―ｕｔｅ」の長女・愛理さんが、実に８年ぶりに、応援に駆け付けた。
仕事で忙しい娘と連戦続きの父親が、前回顔を合わせたのは１週間前。
この日はもう前夜から、目に入れても痛くない愛娘との久しぶりの再会を待ちわびて、「ワクワクしていました」。

そして、いざコースでは気合いが入った。
「娘の前で、お父さんの威厳を見せたい」。
２番のバーディを奪って、目が合った。嬉しそうな笑顔が心の底から嬉しかった。

さらなる上昇を胸に誓ったが、「そううまくはいかないですねえ」と苦笑い。
以前から、ここ東京よみうりCCのインコースは苦手で、案の定10番でティショットを左の崖下。

このダブルボギーを引き金に、そのあともボギーを重ねた。
この２日間は、バックナインだけで８オーバー。
「何年たっても下手ですねえ」と苦笑した。
「良いところを見せたかったのに…」とうなだれたが、まだあと２日残っている。
「明日明後日で、インコースを攻略したい」と、気合いを入れ直した。
10月のマイナビＡＢＣチャンピオンシップで５年ぶり（10回目）に戻ってきたこの大舞台。
愛理さんはひとまずこの日でコースを去ったが常に娘の視線を感じながら、週末の巻き返しを狙いたい。

• 鈴木 亨