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マイナビABCチャンピオンシップ 2009

藤田寛之は「今日は納得のゴルフ」

前半の18番は、右ラフからの第2打がわずかに届かず、同組のジャンボ尾崎と弟弟子の宮本勝昌と3人揃って手前の池に打ち込んだ。

しかし、2人は底にとっぷりと沈んでしまったが、藤田のボールは浅瀬にほとんど顔を出していた。

迷わず右の靴だけを脱いで、裸足になってウォーターショットを披露した。
みごと3メートルのバーディチャンスにつけて、これを沈めて拍手喝采。

「さすがプロ!」と、やんやの声援を背中に受けて、靴下と靴をはき直しながら、苦笑いでつぶやく。

「こういうのって、僕はちっとも嬉しくないんです」。

たまたまボールが浮いていたから良かったものの、「そういうラッキーのゴルフは嫌なんです」。

無類の完璧主義者はたとえスコアが良くても、内容が伴わなければ絶対に納得しない。
だから18番も、さかのぼってティショットをそこに打った自分が許せない、と池ポチャのバーディを喜ぶよりも、自分のミスを責め続ける。
もっと良いプレーが出来たはずと、試行錯誤が始まる。

そんな底抜けの探求心が、賞金ランクは2007年から2年連続のトップ10入りを果たし、40歳を越えた今年は2勝と自身初の複数回Vを挙げる原動力となっている。

そんな理由から、3アンダーの6位タイにつけた前日初日はひとことも前向きな言葉が出て来なかったが、この日の表情は明るかった。

6番で今季15度目の「シャンク」が出て、ボギーを打ったがそれもすっかり吹き飛ぶ11番や12番の1メートルのバーディがあり「今日は、自分がイメージしているのに近いスイングも出来て、ナイスラウンドでした。内容が非常にあるゴルフ」と、珍しく自分を褒めたほど。

それでも、今季3勝目の手応えにはまだほど遠いそうだが、「今日のようなゴルフをしていれば、このまま第一集団にはいられるだろうと思える」。
そこは相変わらず控えめながら、景気の良いコメントも出てくるようになった。

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