Tournament article

日本オープンゴルフ選手権 2009

竹本直哉は2本のスプーンを駆使して

ラフの先に待ち受ける小さなグリーンを怖がって、徹底して刻む選手がいれば、出来るだけ近くに寄せて短いクラブで打つ戦略を取る選手と、さまざまだが中でもユニークなのが、竹本だ。

「ティグランドからドライバーで打ってターフを取る男」との異名を持つ竹本は「僕がこんなコースでドライバーを打ったら、事故を起こすだけです」と、いさぎよくバッグから抜いて代わりにバッグに入れたのは、2本の3番ウッドだ。
「普通のスプーンと、飛ぶスプーン」。
違いは、シャフトが42.75インチなのに対し、飛ぶほうは44インチ。ロフトも13度と若干、立ててある。

これをホールによって、打ち分けている。
523ヤードの13番パー5は、この「飛ぶスプーン」で打ち、続いて「普通のスプーン」で打った第2打は、残りピンまで240ヤードだから、「そこそこ、飛んでいるでしょう?」と自慢げに、なおかつ確実にフェアウェーをキープ出来ているのだから、一挙両得。

シード2年目の今年は、8月から5試合連続の予選落ちを喫しているだけに、この日2アンダーの10位タイ発進は、ことのほか嬉しい。

この半年間は、「不運続きだった。それで頭がずっともやもやしたままで…」。
しかし、賞金総額は2億円。ツアーでもっとも高額賞金の今大会は、胸に期するものがあり、そのせいか「今週は頭がすかっとしていて。たとえば、朝起きたら毎日しゃきっとしていて、物忘れがなさそうな週っていうか、物事をきちんと考えられる週というか…」。

明るい予兆がくっきりと見える週は、そうあるわけではない。
「今日の好スタートを生かしたいですね」。
この半年間の停滞ムードを、一気に晴らす時がやってきた。

    関連記事