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日本プロゴルフ選手権 2008

武藤俊憲「だるまに黒目を入れます」

100回ではきかない。「これまでにラウンドした回数は、おそらくそれ以上になる」。会場のレーサムゴルフ&スパリゾートは、地元・群馬の母校、前橋育英高校の同級生の父親が作った。その縁で、ゴルフ部の合宿地も毎年ここだった。研修生になってからも、なにくれとなく世話になり「まるで自分の庭みたい」。

どこに打てば安全か。グリーンのどの面の乗せればバーディが奪えるか。
その日のピン位置を見ただけで、すぐに分かる。
「右サイドなら右。そこに打つことだけに集中すればいいから、迷いなくプレーできる」と言い切れるもの、ツアー初優勝をあげた2006年のマンシングウェアオープンKSBカップ前後の状態まで、ショットの調子が戻ってきたからこそ。

先週、中国で行われたパインバレー北京オープンは強烈に、後ろ髪引かれながら思い切って休んだ。
今大会に、照準を合わせるためだ。
年頭から決めていた。
「地元で行われるメジャーなんだから。なんとかしたい」。

今でも会う人、会う人が声をかけてくれる。
「武藤ガンバレ!」。
そのたびに、気持ちが引き締まる。
「ここで、変なプレーは見せられない。恩返しがしたい」。
ただその一心でたたき出したこの日初日の64。
ボギーなしの8アンダーは、「おまえだけ、違うコースを回ってきたんだろう」と、ほかの選手に呆れられたほど。

「もちろん、ここでの(自己)ベストスコアです」と本人も笑った。
ツアーに本格参戦するようになってからは、連戦でどうしても足が遠のいていたが「久しぶりにここに来て、成長していることが分かって嬉しかった」。

2位と3打差と絶好のスタートを切ったが、気は抜けない。
上州のからっ風で育ったから、強風下のラウンドはお手の物だが「それでも、日に日にグリーンは固く締まって速くなるし、その中で僕も苦しむ。残り3日、8アンダーはもう出ないと思ってやる」と謙虚に言いつつ、今週ばかりは初日の貯金を生かす自信もある。

クラブハウスに飾られた、優勝副賞の地元名産「だるま人形」の頭を撫でながら「最終日はぜひ、黒目を入れたい」と、気合いを入れた。

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