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フジサンケイクラシック 2008

片山晋呉が首位浮上

一時は独走態勢に入った藤島を、いよいよ捉えた。14番で3メートル。15番で2.5メートルのチャンスを決めて連続バーディ。そしてついに、最終ホールで単独首位に躍り出た。

持病の背筋痛が再発してから大事を取って、ここ2ヶ月はほとんど練習できていない。
打ち込み不足を補ってあまりあるのが、パッティングという。

8月のサン・クロレラ クラシックで編み出したというグリップは、中指と親指だけでパターを握る。人差し指と薬指と小指を立てた状態は、まるでその人が瞑想にふけるときの手の形と似ていることから「一休さんグリップ」とは本人の命名だ。

この日、同じ組で回った韓国のドンファンが「“いちきゅうさん”て、それ何ですか」と、不思議そうに尋ねた変則グリップは、「これが本当に入るんですよ、気持ち良くてしょうがないくらいに」と言った瞬間は思わず身を乗り出すほど熱心に語った。

毎日、痛み止めの薬が欠かせず「18ホールできるかどうかで不安がいっぱい」という中、本人も思いがけない通算25勝目のチャンスは、再び思い出の舞台で迎えた。

このフジサンケイクラシックはいまから18年前の1990年に、初めてツアー初出場を果たしたトーナメントだ。また2006年の今大会は、史上4人目の若さで区切りのツアー通算20勝目。

だから、永久シード権の獲得も「ここで出来たら最高かな」。
絶対に勝つと言えるだけの準備は、残念ながら今回は出来ていない。
「ボールを打つ技術より、明日は今までやってきた自信とプライドと経験を武器にしてやりたい」。
もし実現すれば35歳7ヶ月と7日は、86年の日本プロマッチプレーで中嶋常幸が達成した31歳6ヶ月と29日に次ぐ、史上2番目の若さでの偉業達成だ。

※永久シード権・・・ツアー通算25勝以上をあげたものに、生涯を通じて与えられるツアー出場権のこと。現在、該当選手には青木功(通算51勝)、尾崎将司(94勝)、中嶋常幸(48勝)、杉原輝雄(28勝)、倉本昌弘(30勝)、尾崎直道(32勝)がいる。

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