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中日クラウンズ 2008

川岸良兼「今年は背水の陣」

この日5バーディに、「ありえない」と一番、驚いたのが本人だ。しかもボギーなしは「和合で初めてじゃない?」と、目を丸くした。

実際は一昨年、3位タイにつけた最終日にもボギーなしの63で回っているが、和合ではそれくらい希少価値の高いことらしい。

ピンチらしいピンチといえば、ファーストパットを1メートルオーバーさせた最終18番パー4くらい。
「出来すぎですね」と、元祖・怪童が照れ笑いを浮かべた。

「今日は、風がなかったし昨日の雨で、グリーンがシト〜っとしていたから。それに、ここは特にパー3のホールでアンダーパーで回れれば、良いスコアになる」。

181ヤードの7番パー3で手前カラーから5メートルのフックラインを入れた。
200ヤードの13番は、6アイアンでやはり手前カラーから10メートルのフックライン。
175ヤードの17番は、7アイアンで下りのスライスラインを決めた。
通算6アンダー首位タイに躍り出て、「今年はずるい資格で出ています」と苦笑い。

昨年は102位に終わり、上位70人に与えられる賞金ランクによるシード権を失ったが今年は、「生涯獲得賞金ランク25位内」の権利を行使して出場している。

もし今年も賞金ランキングによる出場権を獲得できなければ、いよいよ来年こそ出場資格を失うだけに「今年は背水の陣。これで最後のつもりでやっていますよ」と言って「ヘヘヘ」と、自虐的に笑ったが、父親としての意地もある。

次女・史香ちゃんは、小5からプロコーチの井上透氏に師事し、めきめきと力をつけている。母は女子プロの麻子夫人。両親の遺伝子を受け継いで、身長はすでに165センチもあり、飛距離は平均270ヤード。
「飛ばしだけなら、女子プロの中に混じっても間違いなく彼女が勝つ」と、井上氏も太鼓判を押すほどだ。

先日の関東中学校ゴルフ選手権春季大会でみごと優勝を飾った愛娘に言われた言葉が堪えている。
「お父さんは、もうちょっと稼いで来てね」。

名門・日大で数々のタイトルをおさめ、鳴り物入りでデビュー。圧倒的な飛距離は周囲の度肝を抜いて、「怪童」とか「怪物」とか呼ばれた。
「僕のデビュー当時は、遼くんみたいに礼儀正しくなかった。やることなすこと、俺を中心に地球が回っているイメージだった」と、わざと悪ぶって笑ったが、口ほどにもなく素顔は誠実で実直な男も、石川遼と同世代の子を持つ41歳。

「いまは、力でねじ伏せるという年齢でもなくなったけど…。今年はなんとか頑張りますよ」。
ツアー屈指の難コースで娘の期待に応えたい。

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