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中日クラウンズ 2008

中嶋常幸「人は人、我は我」

この日初日は、石川遼のひとつ前の組でプレー。「確かに、後ろで大歓声が聞こえたけれど。試合は、こうでなくちゃ!」と、嬉しそうだった。
百戦錬磨の大ベテランには背後から迫り来る大ギャラリーも、自身のゴルフに支障があるはずがない。

14番でバーディトライの直前に、携帯電話が鳴ったが気づかなかった。
あとで専属キャディの金本洋人さんに「聞こえましたか」と聞かれたが、「俺の集中力のほうが高かったんだね」と意に介さず、続く15番の連続バーディは3アンダー3位タイスタート。

報道陣が「今日は和合に勝った?」と、水を向けると即座に首を振った。
「勝ったんじゃなくて“勝たしていただきました”」。
歴史と伝統の難コースに謙虚に頭を垂れつつ、「期待に応えたい」と、手応えをにじませた。

日本と名のつくタイトル7冠を含むツアー48勝を誇りながら、なぜか今大会には勝ち星がない。
「逆転されたり、オフクロが死んだり…。良い思い出があまりない」としんみりしつつ、「勝ち残したのはここだけ。毎年、春先はこれに照準を合わせてきている」。
好スタートに、気合いが入った。

2日目も、やはり中嶋の後続組で回る石川は1オーバーと出遅れたが、いざ勝負の場では「人は人、我は我」。
16歳を取り巻く周囲の喧噪も我関せずだ。

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