Tournament article

ダンロップフェニックストーナメント 2008

石川遼は2打差の6位浮上

世界のトップが集うこの舞台で、もはや貫禄さえ感じさせる。ツアー通算2勝をあげた今では以前のように、一打に一喜一憂することもない。
ティショットを左林に打ち込んだ15番も、「ダブルボギーを覚悟したホールで最高のパーが取れた」と本人は言うが、6番アイアンで右ラフに脱出した残り100ヤードの第3打はピンまで2.5メートル。

17歳らしからぬ冷静さでこのパーパットを拾い、さらにあがり2ホールは圧巻の連続バーディでホールアウトしてきた。

17番で奥のカラーから10メートルをパターで沈め、最終18番は右の深いバンカーから1メートルにピタリと寄せた。
通算3アンダーは首位と2打差の6位タイにもサラリと、「今日は前日のスイングとは雲泥の差」。

初日の14番でボールが木になるロストボールも、2番パー4の第2打でうっかり自分のボールを蹴って食らった1打罰も、すべてはショットの乱れが招いたことだ。

「まだスイングが完璧でないのに、次の段階に足を踏み入れてしまった」。
反省した石川はこの日、イメージを単独2位につけた10月の日本オープンのイメージに戻した。

まず、福岡県の古賀ゴルフ・クラブで1打ごとに忠実に繰り返したルーティンを再現した。
「打つ前に、体重移動を繰り返した素振りを2回。トップからの切り返しを意識した素振りを2回」。
合計4回の素振りのあと、狭いフェアウェイに向かって「ドライバーでも1ヤード刻みで狙っていく気持ち」。
ピンポイントでターゲットを絞り、思い切り振り切る。
「初めてスイングに手応えを感じた」という。
「前の良かったときのイメージを自分が鮮明に覚えていたこと。そしてこの感覚は、あのときと同じだと感じられたこと。すごく勉強になりました」。

この日は最後まで自分を見失わず、平静を保ちながらラウンドをしていた石川の心が唯一、大きく振れたのはこの瞬間だった。

同組で回るヘンリク・ステンソンの専属キャディのファニー・スネソンさんが全身ピンクでまとめた石川のウェアを見て「この色大好き!」と、言ってくれたとき。
「あのときは、テンションが上がりましたね!」。
このときばかりは、服にも負けないきれいな桜色に頬が染まった。

しかし今季2勝目を意識するかと聞かれて、即座に表情を引き締めた。
「いまこの段階で優勝を意識する人はいないでしょう。きっとトップの近藤さんでさえもそう。考えるのは、最後の3ホールに来てからです」。
プレーに関する限り、浮かれたり、動揺する素振りは微塵も見られなかった2日目だった。

関連記事