この日のプロアマ戦。ここ御殿場市の観光親善大使はインターバルの10番で行われたチャリティオークションで、司会者に「地元の栄誉市民」と紹介されて思わず照れ笑い。

「いえいえいえいえ･･･」と口ごもりながら、特大の花束を受け取った。
毎年、この大会週に誕生日（10日）を迎える。
もはやプロアマ大会の“恒例行事”といってもいいこの花束贈呈式で、翌日から始まる地元開催に向けて気合いを入れ直して「空回り」するのが常だったが、今年の芹澤はひと味違う。

49歳。いよいよシニア入りを来年に控え、「もっとゴルフを楽しみながら上位を目指したい」と話す。
年末には２年間失ったままの出場権を取り戻すべくファイナルＱＴには挑戦するものの、以前のようにしゃかりきではない。

「レギュラーツアーの出番も確保しておいて、来年のシニア入りに備えようかな、と。最近のシニアは強いでしょう？　いきなり何もしないで出ても通用しないからね」。

持病の肩痛の手術に踏み切ったのは昨年12月だ。
「完治まで１年はかかる」と医者には言われたが、焦りすぎた。
今年７月に“復帰戦”を迎えたが、体はとても本調子とは言えず、ゲーム勘もなかなか戻らなかった。
「あとからもうちょっと休めば良かったと後悔したんだけれど･･･。僕からゴルフを取ったら何にもないでしょう？　なんせ半年も休んだことがなかったし、ビビっちゃってねえ」と、苦笑する。

長く試合から離れていただけに、連戦も思いのほか堪えた。
「この年齢になると、ある程度の調整が必要」と痛感した。
50歳を目前に、戦い方を見直すべきときが来ていた。

以前は「もう、ゴルフは諦めちゃったと思われるのが嫌」で進んで引き受けることのなかったテレビ解説の仕事も最近は積極的につとめるようにしている。
「画面を通じて他の選手のスイングを見ていると、新たな発見がたくさんあって勉強になる」からだ。

今年は愛弟子の藤田寛之と宮本勝昌もそれぞれ１勝をあげ大活躍。
「あいつらにも頑張ってもらってね。僕も若い子に混じって、あと５、６年は色んなことにトライしていきたいかな」。

今年は地元ファンに、これまでとはまた違った形でアピールできそうだ。

• 藤田 寛之
• 宮本 勝昌