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東建ホームメイトカップ 2008

石川遼は暫定7位タイ

史上最年少優勝を飾った昨年5月のマンシングウェアオープンは雷雨のため初日が中止。さらに3カ月後のツアー2戦目、フジサンケイクラシックは2日目が豪雨による競技中断、3日目は濃霧のためサスペンデッド。

そして今週のツアーデビュー戦も、また大雨の影響で日没サスペンデッドが決まって16歳が思わずつぶやく。「なんで、俺が出るとこうなっちゃうのかなあ…?!」と、首をかしげた。
「…僕の影響じゃないことを願います」と言って笑わせた。

そんな波乱の幕開けも、ただの16歳でないことを改めて伺わせる1日だった。
「下がベチャベチャで、もうどうしようもない」(谷口徹)と、賞金王さえ悲鳴を上げた悪条件も、「しっかりしのいで、チャンスを取って、ゴルフらしいゴルフができた」と自信をのぞかす。

ジュニア時代を例に取り、「自分でバッグを担ぎ、自分で濡れたクラブを拭いていたあのころは雨が嫌いだったけど、キャディさんのおかげで、晴れの日と同じ状態で出来たから。とても楽だった」とまで言ってのけた。
「…本当に素晴らしいキャディさんです」。
専属キャディの加藤大幸さんへの感謝の言葉も忘れなかった。

記念すべき初バーディは、前半の12番パー5。
右手前35ヤードのバンカーからピン右手前5メートルにつけて、これを沈めて小さなガッツポーズが飛び出したが、そのあとは石川らしくない。
そのあと3つのバーディも、特に大きなリアクションもなくむしろ、どこか戸惑ったような表情を浮かべていたのは、「こんなのも、入っちゃうんだ」と、自分でも驚いていたから。

このオフ、ジャンボ尾崎にアドバイスを受けた。
「ボールは左足前寄りに。カップが見えやすい位置に置くこと。あとは入らなくても悩まないこと」。
教えに忠実に練習を繰り返してきた。
本人も自覚のない部分でその成果が出ていた。
「自信を持って、構えたところに思ったとおりに打てたんです。オフにやってきたことが、こんなに早く出せるとは…。自分でも信じられなくて、頭が真っ白になりました」。

同組で回った前年覇者の上田諭尉も思わず呻る。
「去年一緒に回ったときより、足腰も強くなって、遼くんは確実に進化している」。

それでもスタート前は、さすがに緊張していたという。
「今までにない感じで、これを緊張というのかな、と…。自信はあるんだけど、これをどうやってぶつければいいのか分からなかった」。
そんな戸惑いを払拭してくれたのはやはり、「オフに頑張ってきた自分。あれだけ練習してきたのだから」という思いだった。

「15ホールを終えたいまも緊張は残っているけど。それも、少しずつ自信で埋め尽くしていきたい」と石川は言った。
第1ラウンドの残り競技は翌18日(金)の6時50分から一斉スタートする。
石川は、後半の7番ホールから再開するが「早起きは慣れているから」。
記念すべき“初日”はいきなりハプニングに見舞われたが、昨年の史上最年少優勝も悪天候がもたらした。
「…あのときも、ああいう状況になったから勝てたんですもんね」。
16歳にして、すでに試練を乗り越えるすべは心得ている。

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