Tournament article

長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2007

ツアー初優勝を狙う、小田孔明

朝から降り続いた雨。ときおり激しく降りしきる。風も次第に強くなっていく。「ここは、ほとんど横から吹く。それか、アゲンストの風」。
現在ドライビングディスタンスで9位につける。シーズンを通じて飛距離をキープするため、オフは特にトレーニングに時間を割く。

「計測ホールは、かなり意識する。飛ぶ選手と思われたいから」。
そんな小田でさえ、この日の天候には手を焼いた。
「今日は2オンできるパー5はひとつもなかった。練習日はサンドウェッジで打ったのに、7番を握ったホールもあった」と、振り返る。

気温は朝からグっと冷え込んで、前日水曜日に札幌市内のゴルフ量販店できゅうきょ購入した長袖のアンダーシャツを着こんできて本当に良かった、と思った。
スタートしてすぐに「今日はパープレーで上出来だ」と、感じた。
そんな難コンディションにもかかわらず、好スタートが切れたのは同じ組のミーサワットに引っ張られたから。

インスタートの10番で13メートルのバーディパットは、先にミーサワットが同じところから17メートルを打った。惜しくも外れたが、「濡れたグリーンに、くっきりとラインがついた」。
それは下りのややフック。「後から、その通りに打ったら入ってくれたんです」。

その彼と揃って2アンダー首位タイスタートに「彼のおかげでよいプレーが出来た」と、喜んだ。

今大会のあと、昨年のチャレンジトーナメント賞金ランク上位5人と昨年のファイナルクォリファングトーナメントのランキングで構成される、シード権をもたない選手の出場優先順位の見直し(リランキング)が行われる。

現在そのリランキングで1位につける小田にとっても、大切な節目となる。
「もちろん、このまま1位で前半戦を折り返したい」とこだわりを見せながら、今季3度のトップ5入りを果たし、獲得賞金は2400万円を超えて、賞金ランク13位につける小田には、もっと上の目標もある。

もともと、ここ北海道は相性の良い土地だ。
寒冷地特有の洋芝が得意。
「上から打ち込むタイプだから、ラフに入っても突っかからずに打てる」。
道内で行われた過去のトーナメントでもまずまずの成績をあげているだけに、期待も膨らむ。
今季一番の成長株は自信も満々に、きっぱりと言い切った。
「今年中にぜひ優勝したい!!」。

今年から、大会名誉会長に長嶋茂雄氏が就任。名称も新たにその名を冠して行われることになったこの3回大会。最終日にはミスターも会場に訪れて、表彰式のプレゼンターをつとめてくださる予定だ。

福岡出身なだけに、ひいきのチームは「ソフトバンク」だが、すべての野球ファンにとってそうであるように、小田にとってもミスターが、「球団を超えた圧倒的な存在」であることは間違いない。

「もし長嶋さんから優勝カップがもらえたら・・・」。
まして、記念すべき初Vだ。
「それほど嬉しいことはないけれど。まだ初日。考えるのは3日目になってから、ですよね」。
自らに言い聞かせるように話した。

小田孔明(おだこうめい)
三国志のファンだった父・憲翁さんが、特に「赤壁の戦い」で活躍した諸葛孔明(しょかつこうめい)に憧れて、その名を取った。
「昔は意味がわからなかったけれど。背景を知った今は少し重い反面、すぐに覚えてもらえるからこの名前が気に入っている」という28歳。
1978年6月7日生まれ。福岡県飯塚市出身。
ゴルフを始めたのは小1のときだった。
憲翁さんが、手嶋多一の父・啓さんが経営する練習場のメンバーだった。一緒に遊びに来ていた小田に、啓さんが目をつけた。
「体格が良いからゴルフをやってみないか、と言われて」。
そのころ、手嶋はすでに福岡の怪童と呼ばれており、九州ではその名を知らない人はいなかったという。
「どうせやるなら多一さんのように、全国的に有名な選手になりたい」と、小田がプロ入りを意識したのは小5のとき。
東京学館浦安高に特待生で入学。2000年にプロ転向を果たし、2003年にマンシングウェアオープンKSBカップでツアーデビュー。
昨年のファイナルQTランク5位の資格で参戦した今年、10戦目にして獲得賞金は2400万円を超えて、初のシード権をほぼ手中に入れている。
身長176センチ、体重95キロ。

関連記事