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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2007

初シード入りの井上忠久は「塵も積もれば山となる」竹本直哉は「最高の誕生日になりました」

プロ9年目の初シードに「簡単に取れるとは思っていなかったけど、それでも時間がかかりすぎたという印象。来季は余裕で確保したい」と井上
シード権争いの選手たちにとって、事実上の最終戦が終わった。今年は17位のイアン・ポールターと同39位のカミロ・ビジェガス、52位のゴンサロ・フェルナンデスカスタノと70位のブラント・スネデカー、72位のルーク・ドナルドら、規定試合数に満たない選手が上位70人に5人いるから、それらを省いた賞金ランク75位までが、シード権のボーダーライン。

プロ9年目の井上忠久は賞金ランク71位で、念願の初シード入りを果たした。

井上がコーチの堀尾研仁さんを介し、谷口徹や桑原克典ら、実力者と練習をともにするようになったのは昨シーズンだった。
桑原にはショートゲームを。谷口には主にマネジメントやゴルフに対する考え方、精神論を叩き込まれて「明らかにゴルフが変わったと思う」。
中でも谷口がよく言っていた「塵も積もれば山となる」という言葉にいま、改めて納得させられている。
「特に目立った成績を上げられなくてもいい。我慢して確実に予選を通り、1打1打を大切に、コツコツと賞金を稼いでいく。シードはその積み重ね」。

確かに、ファイナルQTランク13位の資格で参戦した今年は、フジサンケイクラシックの15位が最高だった。トップ10こそないが、谷口のアドバイスに忠実に、予選落ちは18試合中3回にとどめられたことが何より大きかった。

「照れくさくて面と向かっては言えないけれど。谷口さん、桑原さんには本当に感謝しています」。
そして、そのきっかけを作ってくれた堀尾コーチに「改めて、お礼が言いたい」。
その堀尾さんが、悪性のリンパ腫で病に倒れたのは一月ほど前のことだ。
いまは病院で療養中の恩人にも「良い報告が出来ます」と、笑顔を浮かべた。

賞金ランク29位で今シーズンを終えた竹本直哉はこの日25日(日)の最終日が31回目の誕生日だった。スタートの1番ティで母・茂美さんに特大の花束を、また大会主催のカシオ計算機よりお祝いを受け取るなど、この良き日の最後を“初シード確定”で締めくくり「毎年、誕生日の前後はQTという“化け物”に悩まされて大変だったから・・・。本当に嬉しい」。

ましてこの週は、賞金ランク25位に入って次週のゴルフ日本シリーズJTカップに出場できるか・・・という「レベルの高い戦い」を繰り広げることができて、「結局、そっちのほうは実現できなかったけど。それも、来年にむけた課題のひとつになりました」と、満足そうに話した。

井上と竹本を含め、今年初シード入りを果たしたのは以下の8人。
小田孔明 (賞金ランク9位)
篠崎紀夫 (同27位、ANAオープン優勝)
竹本直哉 (同29位)
李丞鎬  (同31位)
藤島豊和 (同35位)
プロム・ミーサワット(同45位)
クレイグ・パリー(同56位、ツアー通算2勝ながら賞金シードは初)
井上忠久(同71位)

なお、韓国のH・T・キムはシード圏内の賞金ランク74位につけているが、初シード入りの成否は次週に持ち越された。というのもランク94位につけるジーブ・ミルカ・シンと、同104位のW・リャン(同104位)が、次週のゴルフ日本シリーズJTカップに出場する。この今季最終戦で、両者が揃って賞金シードを獲得すればキムは弾き出されることになる。
いまはシード圏内とはいえ、次週の結果を見越してキムは28日(水)から始まるファイナルQTに参戦して来季の出場権を確保しておかなければならない。

  • 初シードを決めた竹本は、この日スタート前に母・茂美さんからのサプライズプレゼントもあって「最高の誕生日になりました!」

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