Tournament article

カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2007

加瀬秀樹は最後の大まくりにも・・・

シード権の保持にはほど遠い賞金ランク98位でこのカシオワールドオープンを迎えた加瀬が、土壇場で粘りを見せた。イーブンパー30位タイからスタートした最終日。
この日は「7アンダーを出す」と決めていた。6バーディ1ボギーで迎えた最終18番は、目標にあと2つ足りない。
「最後にイーグルが欲しかった。思い切って狙っていった」というラフからの第2打はわずかにショートして、グリーン手前のラフ。
残り42ヤードの打ち上げの第3打は、カップが見えない。
サンドウェッジで打った瞬間、沸き起こったギャラリーのどよめきで入ったと分かった。
思わず駆け足で、グリーンに上った。改めて、その目でチップインイーグルを確認して、満面笑顔でガッツポーズを突き上げた。

通算7アンダーは、その時点で5位タイ。
当初は諦めていたシード権までもう一息という位置に「あとは天命を待つしかない」と、他の選手の結果にゆだねるしかなかった。

今季、不振の原因はスイングや球筋、ストロークばかりにこだわって、「肝心のスコアに集中できていなかったこと」と、振り返る。
しかし、それもいよいよ最終局面を迎えて吹っ切れた。
前日3日目にインスタートの11番で短いチャンスを外し「もう考えるのはやめよう。とにかく気持ちをカップに向けて行こう」。
迷いを捨てたら、たちまち面白いようにバーディが来た。

結局、シード権にはわずかに届かなかった。賞金ランクは規定試合数に満たない選手5人を省いたボーダーラインの75位に、6万1868円足りない76位。
しかし、出場権が与えられる生涯獲得賞金ランクで現在20位につける加瀬は、来季はその資格を行使することを決めた。同資格は1年1回限りの適用となるが、「今年はもうこれ以上、重苦しい雰囲気でゴルフをしたくないから」。
28日から始まるファイナルQTに挑戦してとりあえず出場優先順位を確保するという手もあったが「11月ごろから、もうそっちには行かないと決めていたから」と迷いはない。

それより、最後の最後にやっと思うようなゴルフができたという手ごたえを胸に、「また新たな旅立ちのつもりで、ね。来年は開幕から良い一歩が踏み出せるように。しっかりと調整してきます」。
47歳に、ようやく生き生きとした表情が戻った。

賞金シードを失いながら、生涯獲得ランキングの資格を行使するのは加瀬のほかに、賞金ランク102位に終わった川岸良兼がいる。
また加瀬、川岸のように他の特別シードも持たず、かつ今年賞金シードを失って、28日(水)から始まるファイナルQTへの出場を余儀なくされたのは、ランク77位に終わった河井博大、同79位の井戸木鴻樹、85位の真板潔、95位の野仲茂、97位の溝口英二、98位の川原希、100位の塚田好宣、111位の今井克宗、119位のサマヌーン・スリロット、125位の秋葉真一、141位の友利勝良らがいる。

特に河井と井戸木は、それぞれランク74位と75位と当初はボーダーライン上でこのカシオワールドオープンを迎えていた。
大会44位に終わった河井は「この位置で、最終戦を迎えるということには、言葉に言い表せない重圧があった。今週は、考えすぎて思い切りゴルフが出来なかった」と、苦しかった胸のうちを明かした。
昨年は、賞金ランク57位で初シードの2000年以来6年ぶりのシード復帰。
「まだ、続けて保持したことがないから今年はぜひ」と、2年連続のシード権を狙ったが、土壇場で弾き出されて「いまは何も考えられない・・・」と、うなだれた。

井戸木は、練習日の火曜日に持病の手首痛が再発。棄権すら考えながらも執念で予選を突破して、河井と同様に昨年の復帰から2年連続のシード権確保に首をつないだものの、最終日はパッティングに精彩を欠いた。
結局、58位タイに終わってシード権のボーダーラインを大きく踏み越え「もう、覚悟はしていたから。ただ、QTでは手の痛みが出なければいいんですが・・・」。
夏のわき腹骨折で公傷制度が適用されて、来年の開幕からまだ3試合の猶予はあるが、ひとまず出場優先順位を確保すべく、表情を曇らせたまま会場のセントラルゴルフクラブ(茨城)に向かった。

また、やはり昨シーズンにシード復帰を果たして2年連続の保持を目指した白潟英純もまた、QTに出場せざるをえなくなった。今大会で予選落ちを喫しながら、ボーダーラインの75位には辛くも踏みとどまったものの、今週の最終戦ゴルフ日本シリーズJTカップにランク94位のジーブ・ミルカ・シンと、同104位のWリャンが出場する。
同大会でいずれか1人でも賞金シードに食い込めばシード権を失うため、とりあえず会場のセントラルゴルフクラブに行って出場優先順位を確保しておかなければならなくなった。

  • 「今年こそ、連続でシード権をキープしたかったのに・・・」と河井

関連記事