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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2007

佐藤信人「明日も上位でこらえられたら」

昨年、賞金ランキングによるシード落ち(80位)のそもそものきっかけは、得意のパッティングで自信を失ったことだった。それはさかのぼること2002年。賞金ランクは自己最高の2位につけたオフ。ゴルフ雑誌のレッスンページで特集を組まれたことが原因だった。

透明のアクリルボードの上に立ち、真下からストロークの軌道を写真に撮られた。
あとで掲載誌を見て愕然とした。
自分で思っていたより、インサイドインに入っていたのだ。

以前は「良くても悪くても、パットで悩んだこともなかった」。
強気のストロークでチャンスをピンチも入れまくり、ツアー通算9勝のうち「パットだけで勝った」と謙遜した大会も少なくなかったが、そのころはちょうどパットに不調の兆しが見え初めていたときで、たちまち迷路にハマりこんだ。

「もっと真っ直ぐ(スクエア)に打たないからいけないんだ」と、修正を始めたことからスランプに陥った。

2000年には年間4勝。2002年には日本ゴルフツアー選手権イーヤマカップ(現・UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ)の優勝で5年シードを得たものの、それきり勝てなくなって5年。
長期シードが切れる今シーズンはようやく復調の兆しもみえて、ひとまず来シーズンのメドも立ったがパットの不安は依然としてある。

最終組でまわったこの日3日目は「久しぶりの優勝争いの緊張感」に加え、たびたび3パットにおびえながら、どうにか上位に踏みとどまった。

今では、ひとつ10万円もするという最新のパット練習器が手放せず、ホールアウト後の日課になっている。
パターヘッドに取り付けて使用する「デジタルインストラクション」なるそれは「軌道」「打点」「フェース角度」「テンポ」「打感」の5項目が液晶画面に表示され、それぞれ合格なら緑のランプがつく。
そして、5つすべてが揃ったら「ナイスパット!」と表示される。

しかしはじめのうちは「1000回やっても出なかった」。
壊れていると所属先ミズノのスタッフに訴えたが、そのスタッフが試してみると1発で「ナイスパット」が出て「僕はアマチュア以下なのか」と、落ち込んだこともある。

それが30回に3回の割合で合格点が出るようになり、10回に1回になり、今では2回に1回出ることもあるというが、本当の自信を取り戻すためにもっとも有効なのは、試合で結果を出すことに違いない。
「明日もやりきって上位でこらえらたら、きっと今後につながると思います」。
ナイスパットの褒め言葉も、ギャラリーの生の声ならなおさらだ。

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