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JCBクラシック 2007

片山晋呉「昨年のこの大会で…」

先週の三菱ダイヤモンドカップ最終日。賞金王が、顔をしかめて振り返った。「そういえば、来週でちょうど1年目なんですよ」。昨年の今大会最終日。
首位の谷原と2打差2位からのスタートだった。
1番でバーディを奪い、さあ2人のマッチレースかと思われた矢先のアクシデントだった。

表蔵王の2番パー4で、急な傾斜を上りきったあと、第2打を打った瞬間、右ヒザに激痛が走ったのだ。

前日に違和感を覚えていた箇所だった。
ショット自体にはそれほど影響はなかったものの、坂の上り下りが怖くて仕方なくなった。
足を引きずりながらの状態では、絶好調の谷原に太刀打ちできるはずもなく、独走を許してしまった。

嫌な記憶から1年がたち、最近になってまた同じ痛みが出ている。
どんなに治療を尽くしても良くならなず「もう、ずっとこのまま治らないのではないか」と、不安を覚えている。

2週後には全米オープンが控えているだけに気になるところだが、そんなケガを抱えながらも、高い志は萎えることがない。

自身6度目となった4月のマスターズはかつてない厳しいコンディションに苦戦を強いられて44位に終わったが、しっかりと課題を持ち帰った。
フェアウェーから打っても止まらないオーガスタのグリーンを攻略するには、「もっとスピン量の多いショットが出来なければならない」と、帰国早々から試行錯誤を続けてきた。

「ミスを承知で、去年までは試合でやったことがないようなショットを打っている」。
その分、ここ4戦で思うような成績が残せなかったが、それも覚悟の上だった。
「今だけ見ていても、しょうがないから」。

世界との差を少しでも縮めていけるように。「いつも、そこを目指しているから」。
リスクを承知で、挑戦を続けてきた。

その成果が先週の最終日。大洗で9バーディの65を叩き出した。ベストスコア賞を受賞して「我慢してやり続けてきたことが、出来るようになってきた。自分のものになっていると感じる」と、手ごたえをつかんでいる。

足の状態は心配だがそんな状況にありながら今週も賞金王が、質の高いパフォーマンスを見せてくれそうだ。

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