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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2006

髙橋竜彦が単独首位に

2打差をつけて迎えた17番パー4の第2打は絶好のライ。「このホールは、右手前しかバーディチャンスはない。あそこに、つけてやれ」。
ここしかない、というポイントを狙った残り194ヤードはアゲンスト。
前日以上に、この日アイアンショットが冴えていた。
「5アイアンで、しっかりドローを打っていこう」と一度は決めたが、グリーン手前には大きく口をあけて待っている池。いざとなると、やはり気になった。
「体が止まって、そのままふけた」。
ボールは、池に沈んだ。ダブルボギーだ。

結局、差はひとつに縮まってしまったが、「むしろそれのほうが良い」と、髙橋は考えている。
最終日を前に「7打差あっても、2打差でも、このコースではどちらも同じ。あってないようなもの」と思うからだ。

少しでも油断すれば、深いラフに転がり込む。ボギー、ダボを打つ。
たとえば、仮に5打差つけて首位だったとしよう。
「きっとそれを守ろうとすると思うんです。でも、ここは守って、守りきれるコースじゃない」。
1打差のほうが、むしろ気持ちが緩まなくて良い。
だから、「今日の17番のダボを良いほうに考える」と、髙橋は言った。

この日3日目、同じ組でまわった中嶋常幸は、ちょうど髙橋がプロ入りを決意した年、賞金王に輝いた憧れのプレーヤー。
雑誌の切り抜きを、下敷きに入れた選手だ。
そのとき、使っていたのと同じクラブが欲しくてたまらなかった。
スタートから、緊張でドキドキしていた。
心なしか「いつもより丁寧にラウンドしていた」。

51歳のいまもなお、ティショットで32歳の自分より前に飛ばしている。
その驚き。
10番パー4。髙橋が、第2打を5アイアンで1.5メートルにつけたときだ。
中嶋が言った。
「お前のショットには、もう脱帽だよ」。
尊敬してやまない名プレーヤーに認められた、その感動。
「思わず、鳥肌が立ちました」と、髙橋は振り返る。

最終日最終組も、やはり同じ組。
幸い、ここ宍戸ヒルズカントリークラブは「目の前に、ほかに重要なことがいっぱいあって。集中しなくちゃ、やってられない」コースだ。
偉大なプレーヤーとの優勝争いは、「気後れしちゃうとは思うけど・・・自分も勝ちたいし、それを一番の目標に目の前の1打に集中してやる」。

目標のツアー通算2勝目は、ツアープレーヤー№1の座だ。


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