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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2006

最年長・中嶋常幸、4年ぶりの頂上決戦

4年ぶりのこの舞台。「この前のでもう、シリーズは最後だと思っていたのに。まさか今年、出られるなんて思わなかった」。

実際に、すでにこの週は早くから仕事を入れていたくらいだ。
「嬉しい誤算といっていいのか。『ほんとうに申し訳ありません。シリーズに出られるようになりました』って断るのに大変で」と苦笑した。

11月の三井住友VISA太平洋マスターズで、史上3人目の年長記録でツアー通算48勝目をあげた。その資格で出場権を得た今大会は、もちろん最年長での登板だ。

今年、会場の東京よみうりカントリークラブは、4番と11番で距離が伸びた。いずれも500ヤードを超えるパー4に生まれ変わった。

若手でも悲鳴を上げる選手がいる中で、しかし52歳は顔色ひとつ変えない。

「僕は問題ないよ。300ヤードくらいしか飛ばないからね」とジョークを飛ばしたあとで、「自分に影響があるのなら、みんなにも影響があるだろう」。

今年出場試合を絞り込み、1日4時間割いてじっくりと取り組むトレーニング。
4年前より進化した道具。
そして、「靴下」。

昨夏から愛用している5本指のいわゆる“足袋ソックス”が、さらに後押ししてくれる。
「ショットのときに踏ん張れて、履くと履かないとでは5ヤードは違う」。
この3つの要素によって、4年前より「15ヤードは飛距離が伸びた」と言い切る。
この頂上決戦でも、若手と遜色なく戦える秘訣がここにある。

「今年、レギュラーツアーでも優勝できたのは、シニアで2つ勝てたからこそ。あれがなければ、太平洋でも勝てなかった」と、中嶋は言う。

特に、日本シニアオープン。室田淳との優勝争いは「ある意味、レギュラーでのそれよりもきつかった」。
勝つ、ということにシニアもレギュラーもない、と実感することができた。
接戦の中でもういちど、優勝争いの楽しさを思い出すことができたのだ。

そう生き生きと話す中嶋はいま、自信に満ち溢れている。
その様子におのずと高まるのは、史上初となるシニアとレギュラーの日本タイトル同一年優勝だが、「やめてよ。楽にゴルフさせてよ。始まる前から眠れぬ夜をしたくない」と、破顔一笑。

「・・・でも、若手と混じって優勝争いしたいという気持ちが強い。50歳を超えてあんなゴルフが出来る、というひとつの目標になるからね」。
実はまんざらでもない。

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