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〜全英への道〜 ミズノオープン 2006

市原建彦「これまでは、単なる勢いでした」

午前スタートのこの日初日は、後半から激しい雨。「歩いて、構えて、打つ。他のことを考える暇もない。ただ、リズムに集中すること。それだけしかない」。

こんな悪天候の日は、飛距離が落ちる。重く湿った芝は、ランで稼ぐこともできない。
少しでもフェアウェーを外せば、待ち構える丈高いラフは打ち込んだら最後、脱出不可能。1ペナ覚悟だ。
「今日は必死でフェアウェーを捉えようと努力した」。
やっぱりラフに入れたが、それでも4ホールに押さえることができた。

練習日、パット巧者といわれる清水一浩からヒントを得たのも大きかった。今週の速く、固いグリーンを攻略するには、「ジャストタッチでカップを狙え。そうすればカップに蹴られることもない」と教えられた。

スタート前の練習でも、「ラインを普段より厚めに読んで、むしろ、カップに入れないように打つ」。非常に感覚的だが、そのように意識することで、打ちすぎを防ぐこともできる。
「カップインする確率も高くなる」。
チャンスをきっちり決めることができた。

水城高校(茨城)時代の96年に、世界ジュニアで優勝。そのころからすでに、身長180センチを超え、大型プレーヤーと将来を嘱望された。

そのあと、名門・日大に入学したものの、「刺激がない」とたった3ヶ月で中退。98年にプロの
世界に飛び込み、2000年にはアジアンツアーのタイランドマスターズで優勝するなど、活躍を期待されてきた。

だが、そのあとはツアー優勝はおろか、シード入りもまだという状態。
今季も、ファイナルQT(ランク11位)からの参戦だが、「これが僕の実力だったんです」と、市原はやけにカラっとした表情で言った。
「これまでは、単なる勢いでした」と、サバサバと振り返った。

これまでは、たまに良い成績が出ても、「自分の頭の中には“?”マークが灯っていた」という。
好調のときも、不調のときも、その原因が分からない。
だから、好調を持続させるすべもない。
「良い状態をいかに持続させるかがプロ。以前の僕には、それがなかった。感覚だけに頼っている分があった」。

しかし、今は違う。
プロコーチの井上透氏について、ちょうど2年目。
ドローから、フェードのスイング改造も順調だ。
「悪くなっても、自分で“こうすればよい”というのが出来つつある。そういうのがないと、1年間を戦い抜けないことが分かった」と市原。

デビューしたころは、どことなく遠慮深げに話す選手だった。
自分の気持ちをはっきりと理論立てて話すその姿勢にも、明らかな成長のあとが伺える。

市原建彦いちはらたつひこ
1978年11月17日生まれ、神奈川県出身。身長178センチ、体重90キロ。血液型O型。96年世界ジュニア優勝。チャレンジトーナメント優勝2回。
今季はファイナルQT11位からの参戦。
家族は2004年12月14日に結婚した女子プロの五十嵐瑞江さんと、昨年9月7日に生まれた長女・優ちゃん。


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