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セガサミーカップゴルフトーナメント 2005

渡辺司「今週は、自分のプレーよりも大事なものがあるんです」

プロ25年目のベテランが今週、恩人のために奔走する。
今大会主催のセガサミーホールディングス所属の渡辺司だ。
ランク82位でシード権を失った昨シーズン、引退を決意した渡辺にもういちど挑戦する勇気を与えてくれたのが、同社の里見治・代表取締役会長だった。

獲得賞金による出場権は失ったものの、幸い渡辺には1年1回限り適用できる『1973年ツアー制施行後の生涯獲得ランキング上位25位内の者』という資格が残っていた。
里見会長は言った。

「せっかくチャンスがあるのに、それをフイにするなんて。復活をかけて、もう1年がんばってほしい」。
まして今年は、同社主催の『セガサミーカップ』誕生の年だ。この第1回大会には、渡辺にもホストプレーヤーとして、ぜひ華を添えて欲しい・・・。
会長の強い説得に、渡辺は腰を上げたのだ。

この日水曜日のプロアマ戦。
渡辺とチームを組んだ里見会長は、プレー中にも「渡辺君には、今週なんとか話題を作ってもらいたい」と、再三のエールを送られたが、本人が抱く思いは少し違う。
「今週は、自分のプレーよりももっと大事なものがあるんです」と、渡辺は言う。

それは、記念すべき第1回大会の「成功」だ。
開催が決まってからというもの、渡辺は数え切れないくらい会場のザ・ノースカントリーゴルフクラブに足を運んで準備を重ねてきた。
それはコースセッティングだけにとどまらず、練習場の拡張やクラブハウス内の改装、ギャラリープラザにいたるまで、広く気配りを怠らなかった。
いよいよ開催が間近に迫った今週は、1週間以上も前から会場入りし、コーススタッフのみなさんと一丸となって、最後の仕上げに取り組んできた。

いよいよ、あとは本番を待つばかりだが本戦に入っても、まずは大会の裏方としての立場を優先させようと考えている渡辺は、そわそわと落ち着かない。

「優勝スコアは、いったいどれくらいになるかとか、4日間の天候とか・・・。最後まで、ハラハラです。とにかく、この第1回大会が大成功のうちに終わって欲しくて・・・」。
初日を翌日に控え、ホストプレーヤーは祈るような表情になった。

写真=この日のプロアマ戦、「ぜひ、プレーでも盛り上げてください」と、里見会長(右)は固い握手で渡辺にエール。

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