2004 アジア・ジャパン沖縄オープン 2005

インドのジーブ・ミルカ・シンが単独首位キープ

その瞬間、頭が真っ白になった。13番パー4で、ティショットを左にOB。
確かに、引っ掛け気味の球は打ったが、まさかOBするとは思っていなかった。
というより、そこにOBゾーンがあることさえ、そのときまで気がつかなかった。
視界にさえ入れていなかった場所に、打ち込んだのだ。

ボールが、カート道で大きくキックしたせいらしいが、しばらくは茫然自失。
前夜、家族との電話では、「結果を気にせず、目の前の1打に集中して最善を尽くしなさい」と言われたばかりだった。
しかしこのOBで、「それもそう簡単に、実践できることではないな」と、思い知った。
普段は、スコアボードを見ないようにしているが、このときばかりは、とっさに目が行った。

「…今日は差をもっと広げようと思ってスタートしていったのに…。このダブルボギーで一気に縮まってしまって。かなり、焦りましたね」と、振り返る。

それほどの大きなショックを和らげてくれたのは、専属キャディの藤室一平さんだ。
2001年の本格参戦からタッグを組む藤室さんとは、当初からウマが合い、昨年のアジアと日本の対抗戦『ダイナスティカップ』にも、一緒に遠征したほどだ。

「ピンチのときこそ、彼の存在のありがたみを痛感するんだ。熱くなりがちの僕をうまくなだめてくれるから、いつもほんとうに助かっているよ」。

恩人のサポートもあり、そのあとの15番で90センチにつけてバーディ、17番では6メートルのチャンスを決めて、13番のダブルボギーを取り戻した。

前日の4打差を守って、依然、単独首位でホールアウト。
日本ツアー初制覇に大きく一歩、近づいた。

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