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ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント 2005

佐藤信人「病み上がり・・・というよりは病気中みたいなものだけど」

ゴルフを始めたころから、パッティングで悩んだことがないのが「唯一の長所」(佐藤)だった。多少、ショットに不安を抱えていてもグリーン上で稼ぐ。過去9勝も、パットを入れまくって勝ったというパターンが、圧倒的に多かった。

そんなパットの名手がいよいよトンネルに迷い込んだのが、昨年初め。
欧州ツアー転戦中にイップスにかかり、おまけに日本で頼りきりだった井上透コーチと離れ離れになったことで、ショットの調子もすっかり崩してしまった。
自分ひとりではどうにも立て直しようがなくなって参戦2年目の今年5月、シーズン途中に欧州撤退を決意して帰国した。

再び始まった井上コーチとの二人三脚が、今週ようやく実りそうな気配だ。
コーチのアドバイスでパターのグリップを、直径3センチはあろうかという超・極太グリップに変えたのが先週のこと。

調子が悪かったときは、「指が白くなるくらい」力いっぱいに握り締め、そのせいでパターヘッドがうまく働いていなかった。
それを気にして極力やわらかく握ろうとすると、今度はヒットするときに緩んでしまいそうな不安が消えない。

それが、太いグリップに変えると違和感なくソフトに握れた。
パットのフィーリングが良くなってくると、ショットのミスもカバーできて自信も出てくる。
国内復帰5試合目にして結果が出ると、それが確信に変わっていく。
6バーディ(2ボギー)の単独2位浮上に、久しぶりに明るい笑顔がこぼれ出た。

撤退を決めたときは、すべてに関して「ボロボロで」回復には時間がかかると覚悟していた。
「今も“病み上がり”・・・というよりは“病気中”に近い状態だけど、明日は変なショットの中でもたまに良いのが打てて、それが結果につながればいい」。
区切りのツアー通算10勝目で、完治といきたい。

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