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ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント 2005

佐藤信人「見ているこっちまで、緊張したよ!!」

佐藤(うしろ姿)の目に光る涙を見て、「ほんとうに、嬉しかった」と野上
自分はといえば前半でチャンスパットが思うように決められず、優勝するには少し厳しい差がついたこともあり、途中から同じ最終組の野上の「応援団になっていた」という。

昔からのツアー仲間で、野上が試合に出ていたころは、よく一緒にラウンドもした。野上が出場権を失ってからは、たまに会う機会に悩みを打ち明けられたこともある。
特にここ数年は、出場権を獲得するために相当の苦労を重ねてきたことを知っていただけに、「とても他人事とは思えなかった。むしろ、自分の優勝よりも嬉しかったくらい」と、打ち明ける。

野上が最終ホールで長いパーパットを残したときは、佐藤も「見ているこっちまで、緊張した」という。
それをみごと沈めた瞬間は、「ググっとこみ上げてくるものがあって・・・。必死でこらえようとしたけれどちょっと、出ちゃったかもしれない・・・(笑)」。
野上の劇的な初優勝に感極まって、うかつにもその目に涙がにじんでしまった。
ねぎらいの握手をするかわりに、思わず野上に抱きついていた。

そんな佐藤に、あとで野上がしみじみと言ったそうだ。
「優勝の瞬間、佐藤さんが泣いてくれたことが本当に嬉しかった」と。

もちろん今回は自分は優勝に届かなかったという悔しさもあっただろう。
しかしそれ以上に野上が勝てたことが、「本当に良かったなと思えた」と、佐藤は言う。

佐藤自身も、欧州ツアーから復帰5戦目にして自己ベストの単独3位。先週までパットの不調に苦しんでいただけに、「ここ最近の状態から考えれば、上出来です。今週は、パットが最重要というセッティングで3日間、よくやれたから」。
仲間が感動の優勝シーンを演じるそばで、自分も確かな手ごたえが感じられるゴルフができたことが、何よりの収穫だったようだ。

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