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中日クラウンズ 2004

中嶋常幸の長男・雅生が、プロ転向後最高位の4位タイで決勝ラウンド進出

「そんな息子を誇りの思うよ」
中嶋常幸の長男・雅生が、プロ転向後最高位の4位タイで決勝ラウンド進出
昼下がりのクラブハウスで、すでにプレーを終えた父・常幸が、モニターにかじりつ いていた。ブラウ ン管の中で、いままさに上位争いを繰り広げているのは、2年前よりあきらかに大き な成長を見せてい る長男、雅生だ。その1打1打に、父はかたときも目を離すことはない。そして、感慨 深げにつぶやいて いた。
「息子の成長が、嬉しくない親はいないよ・・・」。
2002年にプロ転向。“2世プロ”として注目を浴び、父も同席のデビュー会見は 「やってやる!」との気持ちでのぞんだものの、内心は、不安も抱えていた。
アマチュア時代から、ティショットの安定性には定評があったが、アイアンショット の正確性に関して は、雅生自身の中にも疑問があったのだ。
学生時代は99年日本オープンのローウェストアマなど、タイトルは保持していたもの の、プロの世界で は、そうやすやすと結果が出るわけもなく、迷いの日々が続いた。
しかし、それでも息子はツアー通算47勝の偉大な父にすがることはしなかった。アイ アンショットの精 度を高めるために、シャフトを短くしてみたり、ライ角をアップライトにしたり。さ まざまな技術的な 取り組みは、すべて自分なりに考え、試行錯誤を繰り返したことだ。
精神面では、このオフ生まれてはじめてのアルバイトに挑戦。建設現場で穴を掘った り、土を運ん だり。翌日は筋肉痛になるほどハードな肉体労働は、日当1万円。ゴルフ以外の労働 で稼いだのは、今 回が初めてだった。「みんな、こうしてお金を稼いでいるんだってことが分かった。 それに、昔は少食 だったけど、いっぱい食べれる体質にも変わったんです」。1週間の社会経験が、体 力面にもよい影響 を与えた。「それらいろんな取り組みの成果が出た今週の、この予選2日間だったと 思う」。通算7アンダー4位タイでの決勝ラウンド進出に、胸をはった。
「オレもやったことのない方法で、彼なりに考えていろいろチャレンジしようとして いる。そんな息子 を心から誇りに思うよ」と目を細める父も、実はこの中日クラウンズでの優勝は、ま だない。

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