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つるやオープンゴルフトーナメント 2004

つるやオープン初日は、63の自己ベストスコアをマークしたプロ4年目の三橋達也 が単独首位発進、兄弟二人三脚で積み上げた8バーディ

「いつ、『俺に打たせろ』といわれるかと・・・(笑)」
三橋達也が単独首位発進、兄弟二人三脚で積み上げた8バーディ
夕暮れ迫る最終9番グリーン(午後のインスタート)。フェアウェーからの第2打は、 インパクトでわずかにゆるんで左のバンカー。寄せきれず、3メートルのパーパット が残った。外せば、自身初の単独トップはなくなる。豪州のジョーンズと、首位をわ けあうことになる。
だが三橋に、不安はなかった。かたわらには頼もしい助っ人がいたからだ。2つ上の 兄・隆明さん。それまでに奪った8バーディのほとんどが、隆明さんのアドバイスの おかげだった。
「もし自分で読んでいたら、半分も入っていない」という絶大な信頼感とともに、こ こでもボールは、勢いよくカップに沈んだ。
ボギーなしの63は自己ベストスコア。兄・隆明さんが、関心しきって言った。「確か に、僕にはほとんどラインが見えていたけれど、それにしても、そのとおりに打って くれる弟が、素晴らしかったと思う」。兄弟で積み上げた、初日の8アンダーだっ た。
三橋が初めてクラブを握ったのは10歳のときだ。ほぼ同時期に本格的にゴルフを始め た隆明さんとは、同じ日大でチームメイトとして過ごしたあと、道が分かれた。
プロゴルファーを目指した弟に対し、隆明さんは「中部銀次郎さんのような日本一の アマに」。それぞれの道を歩き始めた。
今でこそ、プロとアマという関係だが、ハンディキャップは0で、2002年の日本アマ ではベスト4に輝いた実績を持つ隆明さんには、「今でも、学ぶべきところがたくさ んある」と三橋はいう。「スコアこそ、勝ったり負けたりだけれど、ゴルフに対する 姿勢や考え方は兄のほうが今でもずっと上。今日のラウンドも、いつ『俺に打たせ ろ』と言われるか、びくびくしていた」と笑う。
互いに尊敬しあう仲の良い兄弟だが、タッグを組むのは今回が始めてだ。
普段はゴルフ場に勤務し、多忙を極める隆明さんだが弟のためにと、今週1週間は苦 労してスケジュール帳を白紙にした。99年のプロ転向後、昨年は出場権さえ持たない 時期を過ごした弟。「力は十分なのに、いったい何が問題なのか。実際にそばで見て確 かめたかったんです」という。
そんな意図があっての兄のキャディだったから、「最初の数ホールは、なんだかとっ ても緊張した」と三橋は振り返る。
ファイナルQTランク20位で出場権を取り返した今季は、「前半戦のうちに初シードに かじりつく」のが目標だ。2打差の3位に日大時代の同期、片山晋呉を従えてのロケッ トスタート。兄・隆明さんからは、この日1日で「ゆったりと落ち着いたスイングに 仕上がっている」との及第点が出ている。
「シンゴは雲の上の存在。1日も早く追いつきたい」のが本音だ。「・・・でも人のこと は気にしない。優勝するのは大変なことだけど、1日でも早くそのチャンスをつかみ たいだけ」。2000年のフィランスロピーで、プレーオフの末に逃した初優勝をがむ しゃらに追いかけていく。
  • 左が兄・隆明さん。「小学校のときから一緒にゴルフをしている兄は僕のすべ てを知り尽くしてくれているから心強い」と三橋

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