ほとんどの選手が刻むホールでも、谷口は迷わずドライバーを握る。「だってドライバーが、いちばん曲がらない」。ラフに入れたのは、スタートの10番ホールくらいだ。しかしそれも、スタートコールのセリフを意識したからに過ぎない。「朝からアナウンサーがね、『3週連続優勝を狙う…』なんて僕のことを紹介するんですもん。あんまり言われると、さすがに力が入るよ」。球が少しつかまりすぎて左に曲げたのも、ご愛嬌だ。

スっと構えて、ほとんど間髪いれずに打つ。まさに絶好調期のスウィングリズム。2週連続優勝を果たしてコース入りした今週は、「先週よりも、さらに体調も良い」と、言ってはばからない。
立ち姿も堂に入ったもの。「勝てば勝つほど、自信が深まっていく」。メンタル面も、さらに充実して4アンダー3位タイと上々のスタートだ。

勝てば史上4人目の快挙。だが、谷口の視線はさらに先にある。「4週も、考えています」ずばり目標は、前人未到の4週連続Ｖだ。
「それくらいしたら、みんな女子より男子ツアーを応援してくれるようになるかも」。自分の成績だけに固執するのではない。今の谷口は、男子ゴルフ界の発展をも意識しながら戦う余裕もある。

• 谷口 徹