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谷口徹、復活への道のり

ふいの顔面神経痛と体の痺れに襲われて、緊急入院したのは、一昨年前の冬だった。診断を受けた左頭部血管腫という病は、いまも薬で散らしている状態で、完全に治ったわけではない。いつ、また再発するかもわからない、という恐怖はしかし、ゴルフをしているときだけ完全に、忘れることができた。

「やっぱり、ゴルフはやってて楽しいから。嫌なことなんか、ゴルフをしているうちにいつの間にか、すべて消えてしまうから」。

苦しい時期に支えとなったのは、やはり大好きなゴルフだった。

「もうプレーができないかもしれない・・・」と絶望した時期も乗り越えて、いま、こうして念願だった日本オープンの優勝カップを掲げている。

大会初日と2日目には、悪天候によるサスペンデッドがあった。3日目には、1日24ホールの長丁場もこなした。深いラフ、点在するバンカー。決勝ラウンドは、激しい強風に見舞われた。

次々と襲い掛かるピンチを乗り越えて、ようやくここにたどり着いた。
この4日間は谷口にとって、さまざまな苦しみにも耐え抜いた、2年間の縮図。

「いろいろあって、それを克服できた喜び、久々の優勝。4日間、長かったな・・・なんて考えたら、泣けてきた。うれし泣きです」。

この2年間、押さえ続けてきた感情が、片山津の18番グリーンであふれ出た。

この優勝で、5年間の複数年シードを手にしたが、「そんなもの、当てにしていない。それに甘えたら、選手は終わり。毎年、賞金ランキングでシード権を手に入れることが大事ですから」と、谷口は言った。

来年、セント・アンドリュースで行われる全英オープンへの資格も手に入れた。世界ランキングのポイントも、これでまたグっと上がるだろう。

再び、世界への扉が開きつつある。

「また、オーガスタに行けるチャンスも出てきたしね。これから終盤、毎週優勝する、くらいのつもりで頑張りたい」。
2年前、賞金王を取ったときにみせた、ふてぶてしいまでの前向きさがまた、谷口の心に戻ってきた。



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