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ANAオープンゴルフトーナメント 2004

伊沢利光 「今日のプレーは言うことなし」ホストプレーヤーが4位タイの好発進

開幕戦から原因不明の微熱がひかず、今季不振が続いていた。
7月末にはとうとう神戸の病院に入院。長期の欠場を余儀なくされ、「このまま、今年はもう無理かもしれない・・・」との不安がよぎったとき、伊沢の頭に真っ先に浮かんだのは「スポンサーのみなさんに申し訳ない」という思い。

すぐに、所属契約を結んで3年目になる全日空の会長・野村吉三郎氏に詫びの電話を入れた。
そのとき、「こちらのことは気にしないで。それより、焦らずゆっくり直してください」と言って励まされたことが、どれほど心強かったことか。

それだけに先週のサントリーオープンから、復帰2戦目を果たした今大会にかける伊沢の思いは強かった。
この日初日のウェアは、目も覚めるようなブルー。大会カラーに身を包み、ホストプレーヤーは輪厚の森を快調に飛ばした。

昨年までずっと、このコースは苦手だった。「いつも、5ヤードから8ヤードほど手前ばっかり」。原因がわからず、最高位は一昨年前の16位。
今年、練習ラウンドでふと気がついた。
「気温の変化で、球が飛んでいないのではないか?」
先週まで、30℃を越える中でプレーしてきて、北海道で開催される今大会はいきなり平均20℃前後。
気温がグっと下がる分、飛距離が落ちていることに気がつかず、先週までと同じ感覚でプレーしていたから、距離感が合わなかったのだ。
「もう10年以上もやって、気がつくのが遅いよねえ・・・」とちょっぴり自嘲気味に、今年は思い切って8ヤード前後、距離を多めに計算することでこの日初日の好スタートに結びつけた。

7バーディ1ボギーの6アンダー4位タイに「今日のプレーは全体的に言うことなし!」。昨年の賞金王から久々に飛び出した満面の笑み。
「最高にうれしいですね!! ・・・なんたって、今週は、これですから」誇らしげに指差したのは、キャップに刺繍された「ANA」の文字。
「この調子で、最終日までいければいい」。今年こそ、恩返しができるか。

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