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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2003

今季3勝目で決める!? 伊沢利光、自身2度目の賞金王へ邁進

「僕の責任じゃ、ないんだけれど・・・」
今季3勝目で決める!? 伊沢利光、自身2度目の賞金王へ邁進

1番で5メートル、2番で2メートル。スタートから快調に飛ばしていく。先週からパッティングで取り入れているクロスハンドグリップも、すっかり手になじんでいる。6 番で1.5メートルを入れてバーディ。7番は3メートルを決めた。

グリーン上で、他の選手より先にどんなに近くに寄せても、『お先に』はしない。慌てて短い距離を打って、うっかり外した例が過去にけっこうあったからだ。夏以降、コーチと「最後まで慎重にやろう」と話し合い、つまらないミスもなくなった。

「アドレスしずらいから」と、苦手だった10番ではティショットをわずかに左ラフに入れたが、残り154ヤードの第2打を8アイアンで3メートルにつけて、バーディを奪った。鬼門のホールも、「ほぼ、克服できたかな」。13番では左から20メートルを3 パットしたが、そのほかはほとんどミスなし。17番パー5では、5アイアンで楽々2オンに成功するなどショットも冴えて、2001年以来2度目の賞金王を狙う伊沢が、65でまわって通算8アンダー、2位タイに浮上した。

この日2日目は、10度を下回る気温。朝の練習では、ポロシャツとウィンドブレーカーの間に、厚手のセーターを着込んでいた。1番ティでしばらく思案した末に、セーターを脱ぎ去った。動きやすさ重視だ。そのかわり、下にレインウェアを穿いて防寒。

「ズボンの中に(ももひきを)穿きこむ人もけっこういるみたいだけど。いくら外から見えなくても、それだけはどうも『おじさんぽいかなあ・・・』と思っちゃうので・・・(笑)」。手もかじかむが、ポケットにカイロは入れない。必要以上に、温もってしまうのが嫌だからだ。歩く間に息で「ハーハー」と暖めておいて打つ。

ときおり、雨交じりの曇天。ほとんどの選手が不利な条件の中、今週のドライビングディスタンスで首位を守り、バーディを積み上げた。

賞金王争いのライバル、片山晋呉は通算1オーバー18位まで順位を落としたが、「片山君というより、ここまできたら優勝したいですよね」。勝てば無条件でキングに輝く。もはや賞金レースは、それほど問題ではなくなってきたが、そのかわり、周囲からひとつ、期待されていることがある。

それは、今季女子ツアー史上最高額を稼いでいる不動裕理プロの、約1億4900万円を越えることだ。

伊沢が今週、優勝できなければ、史上初めて“賞金王”が“賞金女王”に獲得賞金で負けることになるからだ。

男子ツアーの威信をかける意味でも、「なんとか越えてくれ、ってみんなが言うんだけど。もし負けても不動さんが頑張ったというだけで、僕の責任じゃないですからねえ・・・」。複雑な表情を隠さない伊沢だが・・・。

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