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日本オープンゴルフ選手権競技 2003

左肩の故障から復帰わずか1ヶ月の中嶋常幸が4位タイ

左肩の故障から、9月に復帰したばかりだ。長いブランクにしばらく予選落ちが続 き、「今週もだめだろな・・・」と漠然と考えていたが、どうして、4位タイの好ス コアで第3ラウンド進出だ。

「本能的に、この大会が好きなんだね。体が、締まる気がする」と中嶋。

大会史上、5人しか達成していない連覇を、2度、達成している(85年・86年、90年・ 91年)。 この日は、複雑な傾斜にカップが切られ、難しいピン位置にスコアが伸び悩んだが、
「たとえば代表的なのが今日の9番。グリーン外すなら右より左サイドだな、とか、 ドロー系ならベストだけど、ストレートならグリーンのおねに当たってオーバーする な。おねをつたっ てころころと転がすか・・・なんて220ヤード先からそんなこと考えているくらい。 あのピン位置は、恐ろしくってとても打っていけないよねえ」

・・・などと苦笑いを浮かべつつ、しかしそれさえもどこか楽しむ余裕がある。難し いセッティングの日本オープンは、「誰か相手を見て戦うというより、まさにコース との戦い。いかにパーを拾っていくか。“人”を見なくて済むからいい」と中嶋は言う。

ここ日光カンツリー倶楽部は、思い出の地でもある。

17歳のとき、出場した栃木アマ選手権の会場がこのコースだった。1日2ラウンドで、 2オーバーでまわって勝った。以来、年に数回はフラリと来て、ここでラウンドする のが定番になっ た。当時のハウスキャディがまだ勤めている、と聞いている。レストランに座れば席 番ではなく、「中嶋さんのテーブルにおろし焼肉定食」などと、名前を呼んで食事を 運んでくれる。

「人も、このコースも大好きなんだ」まるでホームコースに帰ってきたように、居心 地がいい笑う。
最終18番では、ティショットを右林に打ち込んで5メートルのパーパットが残るピン チ。しかしこれをど真ん中から沈めて、3アンダー、4位タイに踏みとどまって、思わ ず右こぶしを力強 く握った48歳。
「いまのゴルフの状態なら胸張って優勝争いしている、とはいえないけれど、いろん な試練を喜びに変えて頑張っています」若手に混じって、しっかりと存在感をアピー ルだ。

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