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東建ホームメイトカップ 2003

悲しみをこらえ、真板潔がツアー復帰

「とにかく、精一杯戦い抜くだけ」
左足首の靭帯断裂で、戦線離脱していた真板潔が、戻ってきた。
「ご無沙汰しております・・・」
通算4アンダーでホールアウトしてきた真板は、両腕をピッタリと身体に添わせて腰 を折り、律儀に頭を下げた。

昨年7月、サトウ食品NST新潟オープン2日目に事件は起きた。 打ち下ろしの13番ホールで、ティショットを打って傾斜を駆け下りた真板は、ふいに 小さな穴に左足首を取られ、転倒した。 穴は芝にすっぽりと覆われて、上から見ただけでは、確認できない状態にあった。 そのときくじいた足首は、あまりの激痛に歩くこともままならず、あとの競技は棄権 せざるをえなかった。 「ただの捻挫」と思っていたが、病院で詳しい検査を受けると、靭帯断裂との診断。 すぐに手術をして、3ヶ月の入院生活を強いられた。
9月。ようやく退院となり、さあ復帰の準備をはじめよう、とした矢先だった。
母・喜代さんの死。
親思いの真板にはショックが大きく、さらにその悲しみも癒えないうちに、今年1月 には後を追うように父・保幸さんが亡くなり、「なんだか、もういっぺんにいろいろ 起こって、ゴルフどころではなくなってしまって・・・」 思い出すと、やはりこみ上げてくるものがあるのだろう。真板は当時の心境を、ぽつ ぽつと言葉少なに振り返った。
今シーズンは、公傷制度を利用してのツアー復帰となる。真板には、開幕戦から12試 合に、出場のチャンスが与えられる。 この日2日目は、前日よりグッと気温も冷え込んだこともあり、「こわごわプレーし ていた」。 内容はけして満足できるものではない、と真板は言うが首位と3打差17位タイと、ま ずまずの順位 で予選通過を果たした。
悲しみも足の傷も、まだ完全には消えないままに迎えた復帰第1戦。
それでも「とにかく、与えられた12試合を精一杯戦いぬく」と真板は力強く言いきっ た。
※公傷制度、真板の場合・・・トーナメント規定第33条第5項に基づき、2002年度 最終 賞金ランキング70位以内(出場義務競技数に達していない者を除く)のプレーヤーの 平均出場競技数24競技から、2002年度に真板が出場した競技数12競技を差し引いた12 競技に、出場することができる(原則は12試合連続出場のこと)。この12試合の獲得 賞金と2002年度の獲得賞金8,451,926円の合算が、2002年度最終賞金ランキング70位 (出場義務競技数に達していない者を除く)のプレーヤーの、獲得賞金11,165,800円 以上を稼げば、今シーズンのシード選手として復帰できることになる。

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