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カシオワールドオープン 2002

「シャレでつけたら、思わぬ副産物が出た!」

渡辺司がパットの不調から脱却できた、ある秘密とは…

久々の首位発進に、渡辺が、思わず口を滑らした。
「パットが復調した理由は、実はコレなんですよ…」
そう言って、ポケットから取り出したボールには、『TSUKASA』のロゴネームのほかに、ある秘密のマークが…。

ユーターン禁止の道路標識だ(=写真)。

「10月の試合からボールにこのマークをプリントしたら、ほんとに、パットが入りだしたんですよ!
…って、でもコレほんとは、ずっと秘密にしておくつもりだったんだっ! 今日の成績が嬉しくて、ついうっかりしゃべっちゃったよ(笑)」

今シーズン、デビュー20年来深刻に悩んだこともなかったパッティングで不振に陥った。

とにかく、ことごとくカップに嫌われる。
すっかり自信を失いかけていたその矢先、今度はたて続けに5回も、『カップの淵をなめたボールが1回転して自分の方へ戻ってくる』という、“怪現象”を経験した。
「一度は半分、カップに沈んだものが、そのあと浮き上がってきて、僕に向かって転がってくるんですよ! そんなの、めったにあることじゃない。もう、腹が立って腹が立って…」
すべてを呪いたい気持ちになった、と、当時の心境を、振り返った。

悩みあぐねた渡辺は解決策として、版代の5000円をメーカーに支払って、直径約1センチの冒頭のユーターン禁止マークを、ボールの中央に入れてもらったのだ。
「そんなことして、パットが入るようになるわけがないと分かっていたけど、自分ではどうしようにもなくて、なかばシャレっけ。あとは祈るような気持ちでしたね」

当初は、「ほんの遊び心と単なるおまじない」の意味で試したこの印。これが、「思わぬ副産物」を生み出した。
「構えたとき、くっきりと目に飛び込んできて、ボールを打ち終えるまで、そこから目が離せない」

自然とパッティング時の、ヘッドアップがなくなった。もちろん、以来、二度とボールが戻ってくる現象も起きなくなり、再び、得意分野で、自信を取り戻すことができたのだった。

この日初日は、5メートル前後のチャンスパットもさることながら、11番では、ラフから打った第2打を、手前バンカーに打ち込み、10メートルのパーパットが残るピンチ。
これをど真ん中から決めるなど、パッティングの不振からの脱却で、ノーボギーのゴルフ。

他の選手には、「揃って大笑いされてきた」という、このアイディア。
「こんなに効果が出るって分かったら、ブームになっちゃうかもね!?」。
上機嫌で初日を終えた。

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