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三井住友VISA太平洋マスターズ 2002

「アメリカで、できるようになったんです」

2打差2位の田中秀道

日暮れとともに、冷え込みはますます増していく。
「特に後半、かじかんで、身体のねじれも弱まって。11番のセカンド、4番アイアンでダフリ。12番は、セカンドなんとか乗せられたけど、13番では右にふけ…」
そんなときこそ、アメリカ仕込みの、「フェードボール」が、威力を発揮した。
14番パー4だ。
「身体のかじかみを下手にコントロールしてフェアウェーキープにこだわるよりも、とにかく、思い切って振る」
心を決めて強振した第1打、ドライバーショットは、美しい放物線を描いて、フェアウェーど真ん中を捉えた。
「このショットをきっかけに、16、17番でバーディが奪えたんです」。

14番は、以前の田中なら、右前方の木が気になって思い切り打てなかったし、実際に、その幹に命中させたこともある苦手ホールのひとつだった。
「(ディフェンディングチャンピオン)の伊沢さんなら、左バンカーの右端から、フェードで狙っていくんだろう」(田中)と、悔しい思いを繰り返した理想の“ルート”が、今年の田中には、難なく実戦できた。

「前は、たまたまでさえ打てなかったのが、今日ははっきり打とう、と思ってそのとおりやれた。成長した、というのは大げさかもしれないけれど、明らかに変化している、と思える。3年ぶりのこのコースが、3日間終わって、違って見える。球筋も、今までにはない感じ。…アメリカに行って、できるようになったんですね」

言葉の端々に、自信が満ち溢れる。

「あまりに、一生懸命やっているので、ファンのみなさんに笑顔をみせられないが、気持ちは、驚くほど落ち着いてやれている」という、約1年半ぶりのV争い。
「ここで勝てれば、この1年、自分がどれだけ成長したか、わかりやすいし、自信もさらにつくから」
実感している“成長の跡”は、きっちり結果で、知らしめるつもりだ。

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