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久光製薬KBCオーガスタ 2002

大会みどころとコースセッティング

横島由一JGTO競技運営ディレクター

 「今年、記念すべき第30回目を迎えられました、この久光製薬KBCオーガスタゴルフトーナメント。
 例年にもまして、盛り上がりを見せることが予想されますが、我々、運営サイドも、この記念大会にストーリー性のあるコースセッティングを、と本番直前まで知恵をしぼってまいりました。
 ちょうど、ツアーの折り返し地点に差し掛かるこの時期は、そろそろ、選手たちもシード権や、賞金王争いを念頭に入れてのプレーとなります。
 いわば、今週は、シーズンの曲がり角。1年をとおしてもっとも重要な位置づけにあるともいえるこの大会で、やはり、選手たちが、思い切って実力を出し切れるコースセッティングが、理想では、と考え、取り組んできました。

 近くに海が広がるシーサイドコースでありながら、丘陵コースの赴きを持つここ芥屋GCは、あちらこちらに自然のアンジュレーションを豊富に残します。
 ティグラウンドに立つ選手たちには、平坦な部分がコースの全体の3分の1程度にしか感じられず、少しでも回転の強いフックや、スライスボールを打つと、すぐに松林に消えてしまう危険性を秘めています。
 そこで今週は、まず、通常トーナメントより、若干広めにフェアウェー幅を取り、ティショットで、思い切って振っていけるよう工夫しました。
 そして、そのかわりにグリーン回りには、いくつかのワナをしかけました。
 グリーンカラーの外側に、30〜40ミリに刈ったセミラフを、1.8ヤードの幅で設置。刈高としてはそれほど長くないのですが、40ミリというのは、ちょうど、ボールが3分の1沈む深さで、そこに打ち込んだ場合のクラブ選択に、非常に迷まされる長さです。
 このセミラフの存在で、見た目より、ずっと厄介なセッティングになっている、といえるでしょう。
 またここ芥屋のグリーンは、ツアーでは数少ない高麗芝です。
 特にこの時期の高麗芝は、人間の年齢でたとえて言えば、17、18歳。一番、伸び盛りのときといってよく、非常にコシがあり、また思いも寄らない微妙なアンジュレーションを、作り出します。
 読みづらい上に、今年は、肥料の量を抑えて成長を止めたりなどの工夫をして、適度なスピードも、備えました。
 この難解なグリーン攻略も、優勝争いのカギを握ってくるでしょう。
 我々の想定した今週の優勝スコアは、17〜18アンダー。4日間とも、休むことなく攻めつづけ、18か、それ以上のスコアを出してこられた選手に、間違いなく勝利の女神は微笑みます。
 芥屋GCで繰り広げられる息詰まる熱戦を、コースで、ブラウン管で、どうぞ最後までお楽しみください!」

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