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全日空オープン 2000

1番でまさかの4パット

しかし佐藤信人に焦りはなかった。

 いきなり、暗雲が垂れ込めた。
 佐藤の1番パー4。
 1メートルのバーディパットをはずして、返しの、わずか30センチのボギーパットもはずしてまさかの4パット。
 ミスした瞬間、パターヘッドをしきりに気にする佐藤。
 タップインでダボパットを沈め、拾い上げたボールもまじまじと見つめた。

 「不用意なパットでした。パターかボール、どちらかに砂がついていたのを、そのまま打ったら…」

 その後も、得意なはずのパットが決まらない。
 2番で7メートル、3番で6メートル。4番は4メートル、5番は2メートル…。
 チャンスパットはことごとく、カップをそれた。
 7番では、1メートルのパーパットをはずし、ペーニャの逆転を許した。
 だが、今季、もう何度経験したかわからない優勝争い。佐藤に焦りはなかった。

 「今までなら、出だしダボで落ちこんだと思うし、逆転されたら、もう諦めムードだったと思います。
 でも、ひっくり返されたといってもまだ1打差だったし、1日は長い。後半、まだまだチャンスはあるだろうと思うことができました。
 精神面が、だいぶよくなったからでしょうか」

 ストレスのたまりそうな展開も、キャディと談笑するなどしてやりすごすうちに、佐藤に波がやってきた。
 10番で5メートルのバーディチャンスを決めた。
 11番は2メートル。
 13番では5メートルを沈めた。

 通算7アンダー、2位と2打差で迎えた18番。バンカーからのセカンドをダフってボギーとしたが、今季3つめのウィニングパットを沈めた瞬間、佐藤は、今やすっかり板についた力強いガッツポーズで喜びを表した。

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